認知症は中核障害といわれる、基となる障害から様々な症状を出現させます。私たち介護士は、その症状に対応し、利用者の方の生活を支えていきます。しかし、その症状は個々に違いがあり、苦慮することも多いものです。多くの対応を知ることで、アイディアの引き出しを増やしていきましょう。
認知症のコミュニケーション
認知症の方と接する上で、
最も重要なことは信頼関係。
「あぁ、この人なら話しても安心する」と
利用者の方が思えたなら、ケアがスムーズに行えます。
認知症の方の声かけ例
介護の基本は、声かけにあると言えます。
相手に対する、はじめのアクションと声かけで、安心感を持ってもらいましょう。
認知症の方の声かけ例として
- ゆっくりと短く話しかける
- 目の高さで話しかける
- 否定しないで話しかける
- ジェスチャーやスキンシップ
上記のことを心がけてみて下さいね。
下記の記事内では、入浴拒否のある方の声かけ事例をご紹介しています。
認知症ケアで大切なこと
認知症の方のケアで大切なことは、その方の不安を知るということです。
わからないことが増え、できないことが増える。
その不安な気持ちを持っていることを知ると、ケアの方法が変わります。
同じ内容を繰り返す方には
- 訴えを遮らないこと
- 代替の対応も考えておくこと
- 他の訴えも聞き出すこと
はじめは手間がかかりますが、根気強く行うことで、訴えが少なくなります。
下記の記事内では、訴えの多い利用者の方の事例をご紹介しています。
認知症 周辺症状の対応
認知症の周辺症状とは、基となる障害から出現する症状を言います。
障害によりその症状は様々です。
多くの事例を、インプットしてくださいね。
認知症の攻撃的な行動
認知症の行動・心理症状である攻撃的な行動は、介護者にとって心理的にも負担となる症状です。
しかし、ご本人にとって何かしらの理由が潜んでいるものです。
ご本人の気持ちを理解することが大切ですが、具体的な対応はどのように行ったらよいのでしょうか。
具体的な対応
- 距離をとる
- 介護者を変える
- 大切な存在だと知らせる
- 孤独にさせない
- 行動を観察する
下記の記事内では、攻撃的な行動を強めてしまう対応についても記述しています。
認知症で暴言のあるとき
攻撃的な行動にも類似しているのが、認知症の方の暴言です。
対応は、攻撃的な行動のあるときと同じです。
暴言は、言葉の暴力であり、その言葉で介護する者は、とても傷つきますし苛立ちます。
その言葉を受け入れないアクションを、下記の記事内でご紹介します。
実際、私が行っていることで、自分のメンタルを整えられる方法ですよ。
認知症で叫び続けるとき
認知症の症状で昼夜を問わず叫ばれ続けると、介護者にとってはかなりストレスになってしまいます。
認知症で叫ぶ症状を変えるには
- 環境を変えること
- 行動を促すこと
下記の記事内では、独自の解釈を加えながら対応した事例をご紹介します。
認知症のせん妄
認知症の症状に、幻覚や妄想・不穏などの症状がありますが、せん妄の状態は、それらの症状が急性に起きます。
突然、興奮してせん妄かもしれないと思うときの対応
- 症状に動揺しない
- まずは話をよく聞く
- 見えないものが見えるときは、退治するジェスチャーをする
- 落ち着くまで付き添う
下記の記事内では、原因と思える要因や注意したいことなども記載しています。
認知症の作話
『作話』は、物忘れによって失ってしまった記憶が原因です。
現実に起こってしまっていることが、なぜなのかわからなくなります。
そのため、つじつまを合わせようと作り話をするのが『作話』です。
作話の対応
- 認知症の『作話』を周囲に知らせる
- 基本は話を聞くこと
- 取り繕いの『作り話』を否定しない
- 認知症の『作話』に反論はタブー
対応しだいでは強いストレスを抱えることになり、『作話』は『妄想』という強い症状へと変化してしまいます。
下記の記事内では、具体的な対応方法などをご紹介しています。
認知症の不眠
認知症の方の不眠で困っているなら、原因を探してみましょう。
具体的には
- 日中の活動量が低下している
- 皮膚が敏感になっている
- だるい疲れるなど身体的な不快を感じている
- 今の状況を理解(見当識)する力の低下している
- 不安や恐怖を感じている
- 体内時計の機能が低下している
対策が難しい時は、薬の処方もお願いしていきましょう。
下記の記事内では、不眠の対応がとても難しい点に触れ、頑張り過ぎることで起きる弊害にも触れいます。
認知症 夜間の不穏
認知症の方にいつもと違う不穏な様子が見られたら、それは異常を知らせるサインです。
早いうちに原因を探って対策していきましょう。
『不穏』の原因を3つ考えてみる
- 精神的な苦痛
- 身体的な苦痛
- 環境に違和感
下記の記事内では、実際の事例をもとに、症状の始まりから対策までを記述しています。
認知症 夜間の不穏が睡眠障害につながる「こんな所に置いていくの!」
認知症 パーキンソン症状
レビー小体型認知症では、パーキンソン症状が現れます。
特徴的な大きな症状としては
- 振戦・・手足のふるえ
- 無動・・動きが遅くなる
- 固縮・・筋肉が硬くなる
- 姿勢反射障害・・姿勢のバランスが悪くなる
症状にはこの他にも多くありますが、仮面様顔貌という症状があります。
仮面様顔貌とは、無表情でまばたきも少なく一点を見つめるような顔つきが特徴の症状です。
下記の記事内では、仮面様顔貌の症状のある方の事例を紹介しています。
認知症の帰宅願望
認知症の帰宅願望は、ご自宅に居ても「帰ります」と訴える症状です。
記憶が薄れ、不安になり、安心できたあの場所を探しに帰るのでしょう。
下記の記事内では「出来ないことが増えて一層不安になる」という、帰宅願望の強い利用者の方の事例をもとにしています。
実際に私が行っている対応を記述していますので、対応の一つとしてご覧ください。
認知症 理解と療法
認知症 丹野智文さんに学ぶ
若年性アルツハイマーの診断を受けた「丹野智文さん」。
宮城県在住の方で、認知症の当時者だからわかることを、発信されています。
現在2024年も、精力的に活動されいますが、私が講演に参加した2018年のときの内容を、記事にしています。
介護する方に読んでいただきたい部分を抜粋しますね。
丹野さんのお話の中で、屋内でも帽子を脱がない方がいて、周囲はなんとか帽子をとろうとするらしいのですが、どうしても帽子を手放さない方の話がありました。
レビー小体型認知症のこの方には、家の中でも枝がそこら中に張り巡らされて見えるらしく、危ないので脱がないらしいのです。
このような状態を、私たち介護士は適切に理解できるだろうかと思いました。
当時の講演会の様子を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
タクティールケア
スウェーデン発祥の『タクティールケア』をご存知ですか?
赤ちゃんに触れるように、やさしくマッサージを行う技法です。
手や足そして背中にその技法を用いて触れることで、認知症介護に奇跡的な効果をもたらします。
下記の記事内では、手技の説明を行うのではなく、行ってみた利用者の方の様子を記述しています。
寝たきりとなり、発話や自発的な動作がなくなった利用者の方に、ステキな奇跡が起こりました。
介護の仕事を選んで良かった。感動が得られる素晴らしい職業です。
そんな思いを記事に込めました。
良かったら下記の記事をご覧ください。
認知症で水分をとらない
高齢者の必要な水分量は、体重1Kgに対しておおよそ40mlを目安にするとよいと言われています。
体重40Kg の利用者さんですと、一日に1600mlが必要になり食事以外の水分摂取を1000ml以上が目安。
しかし、高齢になると水分を欲しがらなくなります。
そんな利用者の方に、おすすめなのが塩水です。
100mlの水に一つまみの塩を混ぜるだけ。
この方法で、いつもの倍の量の水分を摂れた事例をご紹介しながら
他にも、水分を摂りやすい方法なども記載しています。
認知症で水分をとらない方におススメ!工夫次第で水分量をアップ
認知症のレクリエーション
情動療法とは、表現できない訴えを苦悩的情動として
BPSD(行動・心理症状)に転換させるのではなく、
歓喜的情動(喜びや楽しみ)の感情へ変えていくという療法です。
この療法を取り入れたレクリエーションが、認知症の方にとても良い感情の効果をもたらします。
この療法は、2019年の研修で学習した内容で、
あれから5年がたった今、療法の中のIOT情動療法はあまりに身近なものとなりました。
IOT(Internet of Things)とは、物にセンサーを取り付けてインターネットサービスを提供するシステムのことです。
テレビにYouTubeと繋がるスイッチがあり、テレビという物とインターネットが接続。
当時は、「すごいなぁ」と思ったものですが、科学の進歩は俊足で
今やテレビでYouTubeを見るのは、当たり前の時代になりましたね。
この他に、五感を活用した療法や読み聞かせをする療法などがあります。
この時に、学習したマメ知識なども記事内でご紹介しています。
認知症の音楽療法
音楽療法とは、「音楽を人々の心身の健康に役立てる行為」です。
日本において、音楽療法士の資格認定を行っている日本音楽療法学会では
音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、
・心身の障害の回復
・機能の維持・改善
・生活の質の向上行動の変容などに向けて
音楽を意図的、計画的に使用すること
と定義しています。
この療法を取り入れた、グループホームの活動を記事にしています。
パーソンセンタードケア
パーソンセンタードケアとは、 認知症をもつ人を、一人の「人」として尊重 するケアのこと 。
パーソンセンタードケアでは、認知症の人だけでなく、介護する家族や、ケアスタッフもその人らしさを発揮できることが大切とされています。
しかし、尊重するといわれても、認知症状のある方の対応はとても難解です。
そこで、認知症介護に困った時の考え方として、次のような考え方をします。
- それは本当に問題なのか
- どうしてそれが問題なのか
- 誰にとっての問題なのか
- 行動によって何を伝えようとしているのか
- 生活の質を高める方法で解決できないか
下記の記事内では、事例に基づいたパーソンセンタードケアの考え方をご紹介しています。
さいごに
認知症の症状 介護士の対応のまとめとして
- 認知症のコミュニケーション
- 認知症 周辺症状の対応
- 認知症 理解と療法
3つの項目に分けて、対応などをご紹介しました。
ご意見やご感想がありましたら、
お問い合わせからお知らせ頂けると嬉しく思います。