高齢になれば、体の機能が衰え上手くいかないことが多くなり「どうして、こうなってしまうのだろ」と思います。私たち介護する者は、その気持ちを汲み取りながら、補う介護を心がけたいものです。高齢者の特徴を、知っておくことで高齢者の「上手くいかない」ことに、理解を持ち対応していきましょう。
高齢者 口腔内の特徴
食べるという「生きること」に直結した
口腔内の機能について、
高齢者特有の症状などを知って、
これからの介護に繋げていきましょう。
飲み込む力
高齢になると飲み込む力が弱くなり、
むせたり詰まったりするようになります。
そのために介護施設で、
飲み込む力を鍛えるために行っているトレーニング。
- 首の筋肉を鍛えるトレーニング
- 喉仏を動かすトレーニング
- 口周りを動かすトレーニング
ポイントは、喉仏を動かす筋肉を鍛えることです。
喉仏をしっかりと動かすことが出来ると、
飲み込みが良くなり誤嚥を防ぐことが出来ます。
下記の記事内では、飲み込む力をチェックする方法や
飲み込む力が弱くなる原因を、動画を見ながら解説します。
食べない原因
高齢者の方がこの頃「食欲がないようだ」と心配になることはありませんか。
高齢者の方が食べないと思うときの原因の探り方として。
- 体のトラブル
- 生活のトラブル
- ストレス
- 薬の副作用
- 病気
食べなくなる原因には、上記の主に5つのパターンが考えられます。
生活の中で、どの部分に変化があったを、観察することで原因を考えてみましょう。
変化の様子を捉えて改善を試み、
状態が続くときには、
観察したことを、医療関係者に繋げることがとても重要です。
下記の記事内では、観察できる5つのポイントを、更に詳しく記述しています。
味覚がおかしい
ご本人が「味覚がおかしい」「味がしない」などと話すようになったら、
味覚障害を起こしている可能性もあります。
具体的な味覚の症状は、次のようなものです。
症 状 | 味の感じ方 |
味覚減退 | 味を薄く感じる |
味覚消失 | 味が全くわからない |
自発性異常味覚 | 食べていなくても特定の味がする |
解離性味覚障害 | 特定の味を感じない |
異味症 | 元の味と違う |
悪味症 | まずい味がする |
部分的味覚障害 | 特定の場所に味を感じない |
私の母は、薬を変更したことで、「まずい味」「苦い味」が改善しました。
しかし、原因は一つとは限りません。
薬を変更する以外の対策方法としては
- 亜鉛の多い食品を食べる
- 調味料で工夫する
- 口腔ケアを定期的にする
- 唾液分泌マッサージをする
- 亜鉛のサプリメントには注意
などがあり、下記の記事内ではその方法について詳しく説明しています。
よだれの原因と改善策
高齢になると口から唾液が漏れて、よだれを出すことが増え始めます。
高齢者によだれが出る原因で、多いものは次のようなものです。
- 口や顔の感覚が低下している
- 舌の動きや飲み込みが低下している
- 姿勢が悪くなっている
改善のための体操を、
毎日続けることで効果が認められるようになります。
- 飲み込みを改善する体操
- ムセを改善する体操
- 口を閉じる筋力をつける体操
- 舌の筋力をつける体操
下記の記事内では、よだれを改善する体操の方法を具体的に説明しています。
痰を出す方法
高齢者の方は、強く咳をすることができず、痰が絡んで苦しそうにしていることがあります。
痰が出せずに困っているときは、
タッピングや体位交換などで寝ている体を動かし
痰を出しやすくしていきましょう。
日常生活では、水分を多くとり温かい飲み物を飲んでもらう。
うがいも効果があるので、試してみてください。
スポンジブラシやガーゼの用意があると、痰が絡んだ時の助けになります。
下記の記事内では、痰を出しやすくする食品などのご紹介もしています。
高齢者 いつもと違う様子
高齢者のいつもと違う様子の観察方法や
突然の出来事の対応で
基本的なことを知っておくと
悩まずに介護が行えます。
突然の嘔吐の対応
突然の嘔吐があると慌ててしまうものですが、一般的な対応を覚えておくと役に立ちます。
高齢者が嘔吐したときの対応
嘔吐している時は
- すっかり吐き出してしまう
嘔吐した直後は
- うがいをする
- 横になり休んでもらう
- 片付けの後は換気をする
落ち着いてきたら
- 水分補給をしてもらう
下記の記事内では、嘔吐した後の消毒方法もご紹介しています。
熱が上がったり下がったり
高齢者の方で、夕方から高熱が出ていたのに、
朝方に熱が下がることを繰り返す、ということはありませんか。
そんなとき、高齢者施設で行っている対応は
- 『うつ熱』を確かめる
- 水分を補給する
- 測った体温を記録する
- 体を冷やす
- 主治医に連絡する
2日程度様子を見て、熱が上がったり下がったりするときは、主治医に連絡をして診てもらいます。
高齢者施設で、熱が上がったり下がったりする原因の多くは
- 誤嚥性肺炎
- 細菌感染症(尿路感染症など)です。
下記の記事内では、日常生活で観察する内容も記述しています。
足のむくみ 原因と改善方法
足がむくむと、ジンジンとした痛みがあり、歩くこともままなりません。
高齢者の方の足の甲にむくみがあるときは、
一度受診して原因が病気によるものなのかを確かめましょう。
むくみに繋がる病気が見つからないときは、
生活習慣を変えることで改善が見込めます。
- 『長時間の同じ姿勢によっておこる』のときは、体を動かす。
- 『塩分で水分を摂りすぎ、糖分で水分を溜める』のときは、カリウムを摂る。
- 『加齢による基礎体温の低下』のときは、体を温める。
- 『身体的・精神的なストレス』のときは、リラックスして過ごす。
下記の記事内では、むくみの原因について詳しく記述しています。
転倒後の症状
高齢になり判断力が低下すると転倒後に「調子が悪い」と思いながら、症状に気がつかないこともあります。
転倒したときに確認することは
- 意識の確認
- 痛みの確認
- 全身状態の観察
転倒後48時間以内に以下の症状があるときは、すぐに受診して医師に相談しましょう。
- 頭痛が強くなる
- 嘔吐を繰り返す
- ボーっとしている
- ふらつく
自宅の中で転倒の多い場所は「リビング」です。
同じ転倒を繰り返さないために、環境整備をおこないましょう。
下記の記事内では、転倒で骨折しやすい部分、
室内で転倒しやすい場所についても記述しています。
高齢者 皮膚の特徴
皮膚の痛みや痒みは
ご本人にとって、精神的にも負担になります。
酷くなる前に、対応することが重要です。
お尻の床ずれ対策
寝たきりの高齢者や座りっぱなしの高齢者の方で
「あれ?お尻が赤い!」と思ったらそれは『床ずれ』のサインかもしれません。
医師にすぐに相談できないときは、スキンケアやこまめな体位交換が必要です。
原因を考えながら次のことに気をつけましょう。
- お尻に圧力が長時間かかる(体の向きを変える)
- 皮膚が乾燥し弱くなっている(クリームで保湿する)
- 皮膚が弱っている状態で、皮膚が摩擦する(こすらない)
- お尻が汚染しただれる(清潔にする)
- 栄養状態が悪い・痩せている(ビタミン類を多くとる)
- 拘縮がある(クッションなどでポジショニング)
下記の記事内では、予防のための詳しい内容や
お尻の『床ずれ』をつくらないための介護用品をご紹介しています。
皮膚乾燥のトラブル
高齢になると、皮膚の角質層に水分を保つ機能が低下し、
乾燥した状態になります。
皮膚の乾燥で、白いフケのようなものが生じ、かゆみを伴います。
この症状は、老人性乾皮症といい秋から冬にかけて多い症状です。
皮膚乾燥の改善のポイントは
- 皮膚乾燥を守る入浴(お風呂のお湯の適温は38度~40度)
- 湿度で乾燥対策(湿度が40%以下になると、皮膚や喉の渇きを感じる)
- かゆみ対策(食事でビタミン類を摂る)
上記の改善点の他にも、下記の記事内に改善点を記載しています。
高齢者の心と体を整える
高齢者の生活を整えるために
心と体のバランスを保つ工夫が必要です。
快適に過ごせる方法を考えていきます。
便秘のマッサージ
高齢になると食事や水分量が減り、排便が滞りやすくなります。
お腹に便が溜まった状態ですと、よけい食欲もなくなり悪循環。
下剤に頼ってばかりいると、腸は薬に慣れてしまい薬ばかり増やすことになります。
高齢者にやさしい腹部マッサージの方法は
人差し指から薬指の4本の指で
おへそを中心に「の」の字を書くように
右回りでやさしく押す。
右から左へ手の平と4本の指を使い小刻みに揺らしながら進む。
・「の」の字マッサージ 1回
・横へ移動するマッサージ 3回 を1セット
30回程度、就寝か起床時に行うと効果的。
下記の記事内では、お腹マッサージを効果的に取り入れる方法も記載しています。
筋肉を柔軟にするストレッチ
ストレッチは、体の筋肉を良好な状態にする目的で、
筋肉を引っ張たり伸ばしたりします。
前屈みの姿勢でいることや、体が固くなると節々の関節が痛みますが、
周りの筋肉を柔軟にすると、痛みが軽減します。
各部位のストレッチには、次のような方がおすすめです。
- 足のストレッチ ・・・高血圧、転倒しやすい方
- 首のストレッチ ・・・目の疲れ、頭痛のある方
- 肩のストレッチ ・・・肩こり、背中の痛みのある方
- 背中のストレッチ・・背中の痛み、腰痛のある方
- 腰のストレッチ・・・背中、腰、お尻の痛みのある方
- 胸のストレッチ ・・・ 猫背、肩こりのある方
- 体幹ストレッチ・・・バランスの悪い方
下記の記事内では、具体的なストレッチの方法をご紹介しています。
趣味(ライチャード分類)
一日をぼーっと過ごすことが多くなる高齢者。
今まで一生懸命に生活を送ることで、趣味を持つ機会がないと
「趣味」と言われても、気の進むものが見つかりません。
高齢者の方に趣味をすすめる時には、
その方の持ち味、個性、人柄などの
パーソナリティを考えてすすめるのが効果的です。
心理学者のライチャードによる、引退後の生活適応力で高齢者を分類した
ライチャードの分類で、その方の特性を大まかにつかみましょう。
- 円熟型(社会集団に参加しようと努力しているタイプ)
- 安楽椅子型(比較的適応力のあるタイプ)
- 装甲型(援助や世話を受けることを嫌う傾向にあるタイプ)
- 憤慨型(悲観的で孤独に満ちた生活を過ごしやいタイプ)
- 自責型(意気消沈して寂しい生活を過ごしているタイプ)
人は複数の性格を併せ持っていますから、
一つのパターンに決まっているわけではありませんが、
おおむねの分類としてみてください。
下記の記事内では、具体的に適した趣味をご紹介しています。