高齢者の方は、強く咳をすることができず、痰が絡んで苦しそうにしていることがあります。痰が切れずに食事がすすまなくなったりすると、なんとか痰を出す方法はないかと考えてしまいます。高齢者が自分で痰をさせないときの、痰を出す方法をご紹介します。
介助で高齢者の痰を出す方法
高齢になると気管が狭くなったり、飲み込みが悪く食べ物が残り痰を溜めやすくしてしまいます。
咳をして痰を吐き出す力が弱く、痰が貼りついて苦しそうにしていることがありますね。
介助で痰を出しやすくする方法をみていきましょう。
座って生活できる方の痰を出す方法
タッピングをする
よく行われる痰を出す方法は、タッピングの方法です。
手の平をくぼめた状態で背中を叩きます。
左右の気管支から、気管に向けてすすめるイメージで行います。
圧迫することで、振動を与え痰を移動しやすくします。
タッピングするときの姿勢
前屈みの姿勢になってもらいましょう。
痰は重力で移動するので、痰を口から出すため体を全体的に前屈みにすると出しやすくなります。
できるだけ頭を下げると、効果的です。
咳払いをするタイミングでテンポよく振動を与えると、気道に痰が移動する空間を作りやすくなります。
しかし、タッピングをしても、一度で完全に痰を出せるわけではありません。
「ハッハッ」と痰を出そうとしているタイミングで、何度かタッピングを行っていきましょう。
背中をさすって
痰を出そうとするときは、喉や肺にかなりの負担がかかります。
高齢者の方は、体力を使い疲れてしまいますので、少し落ち着いているときは、背中をさすってあげましょう。
寝たきりの方の痰を出す方法
寝たきりの方の痰を出す方法には、体位変換や体位ドレナージという方法があります。
痰の溜まっているところを、体の向きを変えて重力を用いて流す方法です。
胸の音を聞いて「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という音の部分を探し、音のある部分を上にしていきます。
しかし、実際のところ医療関係者でなければ、痰の溜まっているところは探しにくいです。
ですので、音を探せないときは小まめに体の向きを変えてみましょう。
体の向きを変えたときに、口の中に痰が溜まっているようなら、スポンジブラシなどを使いかき出していきます。
スポンジブラシにガーゼを巻くと、かき出しやすかったです。
飲み物で痰を出しやすくする
痰が絡んで苦しいときに、飲み物で工夫できることも行ってみましょう。
温かいものを飲んで喉を楽にする
痰が絡んでいるときは、温かいものを飲むと楽になります。
温かい飲み物は、痰が切れやすくなると言われます。
喉を楽にするときは、冷たい飲み物より温かい飲み物の方が、飲んだ時にスーッとして楽になります。
ハチミツを使う
温かい飲み物にハチミツを入れると、喉の痛みをいっそう楽にできます。
ハチミツには、抗炎症作用や抗酸化作用があると言われています。
抗酸化作用は、老化を早めるような活性酸素を阻止してくれる作用です。
抗炎症作用があるこで、痰が絡んで咳払いするときの痛みを緩和してくれます。
卵白のリゾチームで痰を出す
卵白には、塩化リゾチームという成分が含まれていて、痰を除去する効果があります。
このリゾチームは細菌を溶かす酵素で、風邪薬などの一般薬に多く用いられています。
加熱すると成分が変わってしまうようなので、生のまま摂ります。
馴染みがあって食べやすいのは、卵かけご飯。
料理やお菓子に使っても、どうしても熱を加えてしまうので、生のままなら卵かけご飯がおすすめです。
うがいで痰を出す
塩には、殺菌や消毒作用があります。
塩水でうがいすることで、喉の線毛(細かい毛)や粘膜についたほこりや病原菌を取り出し殺菌してくれます。
ぬるま湯でうがいをすると、痰が切れやすくなるます。
塩水の塩の量
体液より少し濃いめの塩分でうがいします。
浸透圧の違いによって水分がにじみ出て、痰を柔らかくします。
体液は約0.85%の塩分濃度で保たれていて、生理食塩水がその濃度になっています。
200mlの水に1.8gの塩を混ぜると生理食塩水になります。
ですから、これより少し塩を多くして作ります。
200mlのぬるま湯に2gほどの塩を混ぜれば出来上がりです。
塩を測るのが面倒なときは、親指・人差し指・中指の3本の指で塩をつまむと、概ね2gになります。 |
痰を出せないときは窒息に注意
高齢の方は、咳や痰がうまくできなくなります。
ちょっとした微熱があったり、「なんだか うとうとすることが多いなぁ」という状態で、肺炎になっていることがあります。
また、食事中に急に苦しそうにしているときは、窒息の可能性があります。
介護施設で実際にあることですが、利用者さんが食事中に自分の首元を押さえて苦しそうにしていたかと思うと、顔が蒼白くなったりすることがあります。
口の中のものをかき出すと、すごい量の痰が出てきて窒息する寸前。
意識は戻っていても、病院に行くと肺炎の診断です。
食事はミキサー食で提供していますが、痰がつまると窒息します。
痰がつまって息が出来ないこともあるので、応急処置も覚えていきましょう。
まとめ
痰が出せずに困っているときは、タッピングや体位交換などの寝ている体を動かし痰を出しやすくしていきましょう。
日常生活では、水分を多くとり温かい飲み物を飲んでもらう。
うがいも効果があるので、試してみてください。
スポンジブラシやガーゼの用意があると、痰が絡んだ時の助けになります。
痰を出す方法を覚えて、介助に役立てていただければと思います。
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