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高齢者オムツの皮膚トラブル 悪化させないために介護士が行っている対策方法

皮膚構造図介護技術
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高齢者オムツの皮膚トラブルで、実際に介護士が行っているケアの内容を見ながら、皮膚状態を悪化させない方法をご紹介します。

高齢者オムツの皮膚トラブル 介護士が行う事例

高齢者のオムツによる皮膚トラブルは
同じ体制でいることの、血行不良が殆どの始まりと考えて良いと思います。

ご自分で寝返りをしなくなった方は、仙骨の周辺
同じ方向ばかり向いている方は、腰骨の部分に出来やすいです。

オムツ内のむれや排泄物などで
放置しているとあっという間に悪化します。

最適な方法は、定期のオムツ交換の時に洗浄・乾燥・保湿をして
体の向きを変えることです。



私が、「サービス付き高齢者施設」で働いていた頃
仙骨周辺に皮膚がただれた部分があり、かなり悪化した方がいました。


施設側では、医療を受けられる施設の転居を提案。
しかし、ご家族は住み慣れた施設での「看取り」を希望されます。

これ以上の悪化を防ぐために、
排泄介助の都度、洗浄・保湿が繰り返されました。
保湿には白色ワセリンが使われています。


正直、私は「これでは良くならないよ」と思っていました。
せめて、受診をして医療的なお薬があれば・・


毎日のこまめなケアを行った1ヶ月後・・


ただれた部分はきれいな皮膚に再生されていました。
今でも忘れられないほど、感動したものです。


「サービス付き高齢者施設」は自立した方が入居する施設なので
このケアが始まった当初は
スタッフの中で、不満も出ていましたが
結果的には、喜びの声に変わっていきました。

その後、どのような経過をたどったのか
派遣先を変えたので、知る由もありませんが・・


このことから、ただの油・・
と思っていた白色ワセリンの見方が変わりました。

ただの油でも、適切なケアでこんなにも改善する
そう思った事例です。

高齢者のオムツ 皮膚トラブルの進行

おしりの赤い赤ちゃん

オムツを着用する利用者の方に、赤みがある皮膚状態を見つけたら、早いうちに対応すると悪化を防げます。

その赤みの原因や進行を確認しておきましょう。

初めの段階 オムツの皮膚トラブル「赤み」

軽視しがちな皮膚の赤みですが、この「赤み」が皮膚トラブルの始まりです。

皮膚が「赤くなる」原因


皮膚に赤みを帯びる原因には、炎症・血行不良・日焼け・熱傷などあります。

オムツの着用で皮膚が赤くなる理由は、
同じ姿勢が続くことによる血行不良からはじまることが多いものです。

血行不良を起こし赤くなっている部分に、オムツの使用で
むれや排泄物による菌の感染によって、炎症を起こし次の段階に進んでしまいます。

オムツ着用で「赤くなりやすい」部分


オムツ着用の場合で気を付ける「赤み」の部位は、
仙骨部(肛門から上にある硬い骨の部分)と腰周辺です。

仙骨部は、仰臥位(仰向け)の状態で寝ていることが多い時に多く
腰の部分は、側臥位(横向き)の状態が多い時です。

オムツテープをきつくとめると・・・

腰の赤みは、オムツテープをきつくとめたときにもなります。

尿漏れを防ぐために、テープをきつくとめたりすると
腰の骨にあたる部分が、圧迫されて赤くなります。

尿漏れは、鼠径部に添ってしっかりオムツをあてることで防げます。

鼠径部に添ってオムツを着用したら、
仕上げに指を通して圧迫や寄れを防いであげると
相手にやさしいケアが出来ます。

赤みの次の段階「かぶれ」(接触皮膚炎)

「赤み」を見逃してしまった時に起こる症状が「かぶれ」です。

「かぶれ」の症状

皮膚に湿度や摩擦が加わり、かぶれが現れることがあります。

かぶれは皮膚の炎症状態であり、皮膚の表面が赤くなり、
ブツブツとわずかに盛り上がったりします。

症状としては、かゆみが主な症状で、痛みを伴ったりします。

「かぶれ」を介護現場で伝えたり、家族が医師に伝える表現

赤くはれた発疹(突然現れた皮膚の変化)があり、かゆみを伴う症状があります。

かぶれと思われる皮膚の状態を伝え、
その部分にどんな症状があるかを伝えると、分かりやすいと思います。

また、様子がいつごろからあるか(いつ発見したのか)を伝えると
更にわかりやすいです。

さらに進む皮膚トラブル「ただれ」

かぶれた状態を放置してしまうと、「だだれ」の状態に進行します。

「ただれ」の症状

オムツかぶれが進行すると、皮膚の表面が水分を含みジュクジュクとして、
ただれた状態となります。

強い痒みを伴うために、手で掻いてしまうと
皮膚が損傷し出血してしまうこともあります。

皮膚が損傷された部分から、細菌や真菌が侵入しさらに悪化してしまいます。

長期の皮膚トラブル「褥瘡」

長時間にわたって圧力や摩擦が加わり続けると、
ただれが深くなり、褥瘡が形成される可能性が高くなります。

褥瘡は皮膚の表面だけでなく、深部組織にも影響を及ぼし、
潰瘍や壊死(皮膚組織の壊死)を引き起こすことがあります。

セルフケアで出来ること

褥瘡発見した人

オムツの皮膚トラブルを見つけたときに、
実際に介護士が行ったケアを見ていきましょう。

清潔な状態を保つ

皮膚を清潔に保つことが、皮膚状態を改善するためには重要です。

ぬるま湯を使用してやさしく洗浄し、
清潔なタオルで軽く押さえるか自然乾燥させましょう。

洗浄をする時のポイント

ただれや湿疹などの皮膚トラブルがある場合は、
刺激を避けるためにできる限り穏やかな洗浄方法を選ぶことが重要です。

ぬるま湯や清潔な水だけを使用して洗います。

石鹸を使うときは、おしり洗い専用の製品を選ぶことがおすすめです。

保湿剤の使用

保湿剤を塗布して皮膚の乾燥を防ぎます。

軽度のオムツによる皮膚トラブルの時に
施設でよく使われているのが白色ワセリンです。

白色ワセリンは、石油由来の透明なゼリー状の保湿剤です。
主な成分はミネラルオイルであり、皮膚の保湿や保護に使用されます。

香料や着色料がないため、
敏感肌の方やアレルギーを持つ方にも利用しやすいです。

白色ワセリンを使うときのポイント

使う前
手を十分に洗って清潔な状態にしてください。(施設では手袋を使います)
これにより、雑菌や汚れを皮膚に移すリスクを減らすことができます。

使う時
使う分量だけを容器から取り出して使います。
容器から取り出した分を、手の甲にのせて使い切ります。

一般的には、薄く均一な分を塗るのが適切です。
過剰に使用すると、皮膚がべたついたり、通気性が低下したりする可能性があります。

使う頻度
皮膚が乾燥したら、再度保湿します。(オムツ交換の時に使うと良いでしょう)

病院で処方されるときには、
ワセリンを精製して不純物を取り除いたプロペトが処方されることもあります。

クロリムスという有効成分を含む外用薬です。

定期的なオムツ交換と体位交換

オムツ交換
湿った状態が続くと皮膚が荒れやすくなるため、
オムツを清潔な状態に保つことが重要です。

具体的には
排尿の場合なら、2時間~4時間の間隔で交換する。
排便の時は、すぐに交換して清潔を保ちます。

体位交換
長時間同じ部位に圧力がかかり続けると、皮膚の血液循環が悪くなります。
血流が制限されることで皮膚の健康に悪影響を及ぼします。

体位交換を行うことで、圧力を均等に分散させ、血液循環を改善することができます。
オムツ交換の時に、体の向きを変えると効果的です。

さいごに

ポケットが出来てしまう褥瘡には、医療ケアが必要です。

褥瘡内の洗浄などを行わなければなりません。

しかし、そうなる前に介護士が細やかなケアを行うなら

あのワセリンでも改善するのだ!

そう思えた経験を記載しました。

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