介護をするとき、羞恥心にも配慮したいものです。利用者さんの羞恥心に配慮したケアにはどんなものがるでしょう。タオル一枚で介護士の礼儀作法が格段上がる方法などを解説!これを見れば、あなたも敏腕介護士になれる。
羞恥心にはタオルエチケット
入浴後の更衣への心づかい
利用者さんが浴槽から出たら、立てる方には手すりにつかまり立っていただき、身体の背中や臀部などの後ろ面を拭き取ります。タオルを縦長に使うと一気に拭き取れます。
利用者さんは椅子に座って更衣しますが、その時はバスタオルを反対面にして、身体の前面に縦長にかけてみてください。
先端の上の方で顔や胸などをご自分で拭いていただき、中央でデリケートゾーンを隠し、先端の下の方で足などを拭いていきます。
瞬時に拭き取ることができ、尚かつ、羞恥心に配慮したケアが行えます。
オムツ交換もタオルを使う
羞恥心の対応には、タオルがとっても便利です。居室でオムツ交換を行うときも、タオルを1枚用意しましょう。
オムツ交換ではトラブルがありがちです。尿漏れや物品の不足など、交換がすぐに行えないとき、タオルを覆っておくと、羞恥心の配慮ができます。
利用者さんに皮膚トラブルがあって、他の介護士を呼ぶときにタオルをかけていると、下衣を下げたままでも羞恥心に対応できます。
オムツ交換のときは、扉を閉めることやレースのカーテンをすることを、忘れずに行いましょう。
トイレでの羞恥心への配慮
介護士が異性である場合
女性の利用者さんが、男性介護士に「あんた!男でしょ!入ってこないで!」と排泄介助を拒否していました。
この利用者さんは下痢続きで体調が悪く、こんな日は混乱することが多いのです。いつもは、排泄介助もスムーズに行えますが、混乱すると拒否が強くなります。
拒否が強い場合は、少し時間を置きましょう。あれこれ言うとさらに混乱します。同性介護士が交代すると、なんなく介助できたりします。
パッド交換は利用者さんの後ろから
トイレでのパッドの交換は、後ろから前に差し込むような方法で行っています。
後ろに回って介助するのを億劫がっていると、とんでもない誤解を受けます。
利用者さんを、トイレで介助していた時です。2人入ると狭いぐらいのトイレで、利用者さんの排泄後にパッドの交換をしていた時です。
利用者さんの前から、パッドがずれないように確認して見ていると、利用者さんが「なんか変な気分」と漏らしました。
「変な気分?」なんのこと?介助はいつもと同じだけど?具合が悪い様子はないし・・
認知症状のある利用者さんで、内容を聞き返しても答えがちぐはぐでしたから、想像するしかありませんが、「変な気分」はジーっと見られて「嫌な気分」だったかもしれません。
研修で見た介助
訪問入浴の研修で・・ショック
今でいう介護職員初任者研修(ヘルパー研修)を受けた時のことです。初研修はご自宅での訪問入浴でした。
利用者さんのご自宅に訪問入浴車が到着。ご自宅の台所にシートが敷かれました。そのシートの上に簡易的な浴槽が置かれ、車から長いホースで温水が送られてきます。
車から温水が出てくるなんて、とても不思議です。初研修だったので、介助の方法などを勉強したのでしょうが、今でも記憶に残っていることは一つだけです。
居間にベッドがあり、利用者さんは2・3メートルほど歩いて簡易浴槽の置いてある台所に移動したのですが、肩にバスタオルをかけただけで、真っ裸の状態で移動していました。
ご自宅の中を、利用者さんが真っ裸で移動する。しかも、介護士など他人が4人もいる中を前を隠すことなく移動するのです。初研修でこの体験は、ショックでした。
銭湯や温泉に入る時、女性ならタオルで前を隠しながら入るのが、当たり前だと思っていたからでしょうか。私の方が目のやり場に困ったものです。
「介護をする人たちは、基本的な羞恥心には配慮したいのだろうか」という思いだけが記憶に残りました。
基本的な羞恥心の配慮
その後、事業所に入職した私は、現場で多くの礼儀を習いました。
- 丁寧なあいさつ
- 動作ごとの声掛け
- 介助をするときのタイミング
- 衣類のブティック畳みの方法などなど
入浴や排泄の時に注意する『羞恥心』にも指導を受けました。
ベッド上でのオムツ交換や入浴時には、タオルで前を覆うこと。カーテンや扉を閉めて、外から見られないようにすることなどです。
まとめ
手早い介助は、利用者さんの負担を減らしますが、介助が早ければ「恥ずかしい」という思いをないがしろにしてもいい、などということはありません。
ぜひ、介護者としてのエチケットを身に着けて、利用者さんの羞恥心に配慮できる介護士になりましょう。