介護の事故報告書で、それはイッタイ「誰が書くの?」と思うことはありませんか。自分はたまたまその場に居合わせただけ、「第一発見者だから書かなきゃいけないの?」とちょっとモヤモヤとした気分になります。そんな時の考え方をご紹介します。
介護の事故報告書 それってイッタイ誰が書く
事故報告書を書くのって大変よねぇ・・
落ちてた薬を見つけただけなのに・・・
薬の記号も読めなくなってる・・
口の中に入れて
飲み込めずに出したのかしら?
掃除をしていて薬を発見!とんだ災難がやってきました。
第一発見者になってしまって「自分のミスでもないのに事故報告書を書の?」と思うことはありませんか?
介護事故の報告書は、基本的に第一発見者が書くことが殆どです。
災難ではありますが、発見した介護者が記入することで正確な記録を残すことが出来ます。
ヒヤリハットや事故報告書は、介護の仕事をしている限り必ずと言っていいほど書く機会に出くわします。
「それ(事故報告書)を私が書くの・・・」と思ったときに、スキルを上げるチャンスになる方法をご紹介します。
書くほどにスキルが上がる
介護の事故報告書を書く場面で、「誰が書くの?」と悩むのは次のような場面ではないでしょうか。
- 事故となる当事者が特定できるとき
- 複数の介護者がその場にいて、事故の場面を誰も見ていないとき
- 複数の介護者が、同じ事故の場面を同時に見ているとき
介護の事故報告書は、第一発見者が記入するところが多いと思います。
それは、発見するまでの時間の流れや状況を正確に記載できるためです。
薬が落ちてた場所や、見つけた時間を
正確に知ってるのは私だものね。
1.事故となる当事者が特定できるとき
上記の「落ちていた薬を発見」した場合で考えてみましょう。
錠剤に記載されている記号や番号は、口の中に入れてしまうと消えてしまいます。
このような場合は、誰が飲むはずだった薬なのかも特定できません。
いつ飲む薬だったのかも特定できず、対応は服薬の仕方や薬を飲み込んだかを確認する方法に注力されます。
しかし、薬の記号などがハッキリと読み取れて、その薬を飲んでいる人を特定できる場合もあります。
更に飲むべき時間(朝・昼・夜・寝る前)などが特定できるときもあります。
そうなの。
薬の介助をした職員さんがわかったのよ。
こんなときに、ミスした職員さんが特定できるのに「事故報告書を私が書くの?」と思うのは、いけないことなのでしょうか?
モヤモヤするのは、人として当たり前の感情ではないかと思います。
でも、誰にでも起こす
可能性のあるミスですよね。
しかし、自分が「同じミスを起こさない」と100%は言い切れません。
必要なことは、同じミスを起こさないことです。
「自分は同じミスしないように」
って考えながら書いてみるわ。
対策については、その時にいた他の職員さんにも意見を聞いて、みんなで対策を考えましょう。
2.事故の場面を誰も見ていないとき
複数の介護者がその場にいて、事故の場面を誰も見ていないときもありますね。
例えば、フロアに複数の職員さんがいて、「ドン」と音がしてフロアを見渡すと利用者さんが転んでいる。
フロアにいる利用者さんの危険に注意しながら介護するとよいのですが、介護者も人なので何かに集中していると、その危険を見逃してしまいます。
利用者さんの爪切りをしてたから、
他の利用者さんが
立ち上がったの気づかなかったわ。
転んじゃったの。
私は夕飯の準備中で、
フロアから目を離した
ちょっとの間でした。
このようなときは、その場にいた複数の職員さんが当事者になるので、誰が書いてもよいと思います。
事故報告書を書く前には、緊急の対応をして上長へ連絡をして指示を仰ぐと思います。
事業所によっては、事故報告書を書く細かな決まりがあるところもありますね。
「事故報告書を書いておいてくださいね」とだけ指示があれば、状況の把握をみんなで話し合い、対策を検討しましょう。
そのとき「誰が書くの?」ということですが、おすすめするのは「あなた」です。
このような機会にはドンドン自分から進んで記入者になりましょう。
- 書くことに慣れ面倒でなくなる
- 書くことで事故を具体的に捉えられる
はじめは面倒で時間もかかりますが、慣れることで短時間に処理できるようになります。
3.同じ事故の場面を同時に見ているとき
複数の介護者が、同じ事故の場面を同時に見ているときもありますね。
危険を察知できていて未然に防げないこともあります。
「大丈夫だろう」「いつもは○○だから」といった思い込みでの状況で起こりがちです。
ソファーで立ちあがって、
フラフラ歩いて転んじゃったの。
駆けつけたけど間に合わなかったわ。
ソファーで立ったり座ったりするのが、
いつもの行動ですものね。
このような場合も、その場にいた職員さんの誰が書いても良いと思います。
歩行が不安定な方の場合は、立ち上がったときに危険を察知する必要があります。
そのときにも、その場にいた職員さんたちの誰が事故報告書を書いてもよいと思います。
そして、「誰が書くの?」となったときには、おすすめするのは「あなた」です。
なぜ、自ら進んで事故報告書を書くことをすすめるかと言いますと・・
それは、「隠ぺい」したくなる気持ちをつくらなくするためです。
ミスを隠すと評価は下がる⁉
事故報告書は、書き慣れないと時間もかかりますし、とても面倒な作業です。
自分のミスによる事故なら諦めもできますが、そうでない場合「モヤモヤ」してしまいます。
例えば、「落ちていた薬」を発見した時。 見なかったことにしましょうか。 発見しなければ、事故報告書は書かなくてよいわけです。 そ~っと、ゴミ箱に捨てますか。 見つからなければいいですねぇ・・・ 「いやいや」それをすると、今度はあなたのミスになりますよ! |
介護事故の隠ぺいは、こんな所からはじまるのだと思います。
「うそ」が「うそ」を生んでいくように、「ミス」を隠すと「ミス」は更に重大なミスに繋がっていくものだと思います。
「ミス」は繰り返さないよう努力で防いでいくこともできていきます。
しかし、「隠したこと」が暴露したとき、あなたの信頼はなくなり評価も下がってしまうと思うからです。
そのためには、「事故報告書を書く」ということが面倒にならないようにすることで、「隠ぺい」を防止できるのではないでしょうか。
事故報告書の目的は再発防止
事故報告書の目的は再発の防止です。
起きてしまった事故を職員で共有し、対策を考えていきましょう。
このような報告書に、ヒヤリハットがありますが、ヒヤッとしたりハットした危険な状態を未然に防げたという書類ですね。
事故報告書で書き慣れることより、ヒヤリハットで書き慣れると未然に事故を防いだ証拠になります。
そして、対策は一人で考えないことです。
一人で考える対策よりも、多くの視点で考察できるからです。
対策をみんなで考えることでチームワークも少しずつ改善していきますよ。
まとめ
介護の事故報告書を書く場面で、「誰が書くの?」と悩むのは
- 事故となる当事者が特定できるとき
- 複数の介護者がその場にいて、事故の場面を誰も見ていないとき
- 複数の介護者が、同じ事故の場面を同時に見ているとき
面倒な事故報告書を「誰が書くの?」ということを考えたら、はじめはモヤモヤしても率先して自分から書いていきましょう。
きっとあなたのスキルアップになっていくはずです。
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