認知症の症状のある方に、おむつ外しや便を触るなどの行動があると介護者にとっては、ストレスの多い行動となってしまいます。『ミトン』の手袋をすることによって行動を抑制できますが、介護施設では身体拘束の用品となり、『ミトン』を使わない工夫がされています。実際、介護施設で行っている『ミトン』を使わない工夫を見ていきましょう。
介護で『ミトン』を使うワケ
認知症の症状が進行すると、徐々に身体機能が低下し寝たきりとなることが増えていきます。
認知症の進行で判断力が低下し、今までなかった行動も出はじめます。
- 自分の体をただれるほど掻く
- おむつを外してしまう
- 自分の便を触る
- 点滴や胃ろうなどの管を抜く
ご本人の安全が確保されないことや介護する人たちにとっては、
後始末の負担やストレスが増えてしまいます。
このような行動があったときに使われる用品が『ミトン』です。
『ミトン』は袋状になっている手袋のことで、
『ミトン』をつけることで自傷行為や弄便などの
周囲への迷惑行為を防ぐ用具とされています。
介護施設での『ミトン』
介護施設で『ミトン』は身体拘束となるため、
さまざまな工夫を行い生活を支援します。
しかし、それでも難しい時に使用するには条件が付けられています。
まずは、介護施設で行っている工夫についてみていきましょう。
『ミトン』を使わない工夫
介護施設でも、実は下記のような行動には、いろいろと工夫が必要になります。
- 自分の体をただれるほど掻く
- おむつを外してしまう
- 自分の便を触る
- 点滴や胃ろうなどの管を抜く
1.自分の体をただれるほど掻く
高齢者の皮膚は、細胞分裂の減少で表皮が薄くなることや
皮脂の分泌が少なくなることで乾燥し、
外部からの刺激にとても弱くなります。
その状態で、おむつやパッドの着用を行うので、強いかゆみを伴います。
また、糖尿病の方も多く全身のかゆみを訴えられます。
掻くことで一時的なかゆみが治まるため、
気になるところを掻き始めただれても止めません。
このような行動には、皮膚を保湿するクリームを それでも、効果のないときには、 かゆみ止めは、すぐには効きませんが2.3週間ほどすると効き目が出て、 |
2.おむつを外してしまう
おむつ外しの行動は、おおむね汚染しているときに多いように思います。
便だけではなく尿のときにもあり、
気が付いた時には一式が汚染している状態です。
このような行動には、排泄の管理がとても必要です。 排便があったか、水分はどれぐらい摂れていたかを確認し、 |
3.自分の便を触る
便が体についている状態は、誰しも不快なものです。
体についている不快なものを取るために、便に触ってしまいます。
触るだけではなく、その手についた不快な便を
周囲のあちこちにつけてしまうのが弄便です。
介護者にとっては、ストレスとなる行動です。
このような行動には、排便を促す支援が必要です。 繊維のある食事を心がけることや、
マグネシウムを調整しながら、 |
4.点滴や胃ろうなどの管を抜く
体についている管は、気になるものです。
点滴や胃ろう、酸素、導尿など体につけらる管は、いくらでもあります。
ご本人にとっては、じゃまな物でしかない管は、
抜いて外したくなるのでしょう。
このような行動には、目につかないようにすることしかありません。 鼻についた管は、特にやっかいですぐに抜かれてしまいます。 見えないように、テープで押さえても気になりますから、あまり効果はありません。 後は、「つける」と「外す」のいたちごっこを繰り返します。 服で覆える管は、衣類の中に通してしまいます。 |
介護施設で『ミトン』が使われる条件
介護施設で身体拘束とされる『ミトン』ですが、条件を満たしているなら使用することも可能です。
- 切迫性 自分や他人を傷つける危険がある
- 非代替性 他に方法がない
- 一時性 短い時間を想定する
2018年より介護施設の身体拘束を防ぐため
『身体拘束廃止未実施減算の制度』が設けられました。
上記の3つの要件を満たさずに、身体拘束を行った場合に減算の罰則を設けたのです。
しかし、介護をする上で工夫しても避けられないこともあります。
『ミトン』についても、その使用にあたっては、必要性の検討を重ねることや『ミトン』を使う理由や様子などを記録することが義務付けられています。
在宅介護で使われる『ミトン』
介護施設では規制の強い『ミトン』ですが、
ご自宅で利用される場合は頻雑な書類の提出はありません。
社会的に身体拘束が問題となって、
『ミトン』やつなぎ服を利用するご家族には、
「これって、身体拘束なの?」「使っていいの?」などの不安もあると思います。
実際に『ミトン』を使っている方の声を拾ってみました。
在宅で使われる『ミトン』のワケ
(前略)目を離すとミトンを外し、身体を掻いて血まみれになったりオムツの中に手を入れて、パジャマどころか、お布団全てを汚物まみれにしてしまいます。(略)
くも膜下出血の後遺症で、認知度が低下し、口から食べる事が出来ず鼻腔経管で、管を抜いてしまう為、ミトンを装着しています。これからの事を決めるようにいわれたのですが、鼻腔経管なので特養はだめ、(中略)老健もミトンをしてるので、身体拘束でだめといわれました。(略)
出典:Yahoo!知恵袋
この他に、『ミトン』を使っていて、「身体拘束になりますから止めて下さい」と言われる方もいました。
在宅介護の悩み 『ミトン』は必要か
『ミトン』の使用にあたっては、賛否両論あると思います。
介護施設で働く職員としては賛成しかねる物ですが、
ご自宅での介護は、逃げ場や離れることのできない状況ですので、
必要に応じては使ってもよいのではないかと思っています。
私が以前、介護の認定調査をしいて、老夫婦のご家庭を訪問したときのこと。
ご主人が認知症の奥様の介護をされていました。
玄関先から異臭の漂うお宅です。
ご主人は「便を触ってあちこちにつける」
「片付けても片付けても同じことをする」
「もう疲れた、こいつを殺して、俺も死にたいよ」
そんな話をされていました。
ご自宅で介護をする大変さを、その時深く知ることができました。
利用できるものは、利用してよいのではないでしょうか。
『ミトン』は介護保険を利用できません。
ですので、全額自費扱いとなります。
ご家庭で利用を考えているときは、インターネットで購入すると早く手に入ります。
まとめ
介護施設で工夫していること
- 自分の体をただれるほど掻く スキンケア・皮膚の清潔・かゆみ止め
- おむつを外してしまう パッドの交換をこまめに行う
- 自分の便を触る 排便をコントロールする
- 点滴や胃ろうなどの管を抜く 見えないようにする・衣類の中に入れる
ご家庭でも試してみて下さい。
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