介護が必要な方が、入浴するときに必要なものの一つが椅子です。高齢になると中腰になる動作が難しくなり、転倒にもつながりやすくなります。浴槽で使う椅子にはどんなものがあるのか、その使い方などを見ていきましょう。
浴槽用の椅子の種類
入浴をするために使う椅子の用途には、3つのパターンがあります。
- 体を洗うときの椅子
- 浴槽に入るための椅子
- 浴槽の中で使う椅子
それぞれにどのように使われているか見てみましょう。
体を洗うときの椅子
シャワーチェア
一般に浴室で使われる椅子は、中腰になる必要があります。姿勢にふらつきがある場合などは座面の高いシャワーチェアを使います。背あてや肘あてがあるものだと、安定して座ることができます。
シャワーチェアに座り体を洗ったり洗髪しますが、体を洗う間シャワーを止めてしまうと湯温が低くなります。シャワーをかけておくフックがあると、シャワーを出しながら体にお湯をかけることができて、体を温めながら洗えます。
浴槽に入るための椅子
バスボード
体を移動する動作が不安定な場合に、浴槽の上に蓋をするように置いて使います。シャワーチェアからバスボードに、スライドするように移動してから浴槽に入ります。
長い時間たっているのが難しい方でも、立つ動作が少ないため入浴が可能になります。
バスボードの下の浴槽の中に浴槽台を置き、バスボードを外して浴槽台に座ってもらうと、上がる時に簡単に立ち上がれます。
ただ、浴槽台に座るので半身浴のようになり、肩や胸の部分は浴槽に入ることができません。肩にフェイスタオルをかけシャワーをかけながら、体を保温します。
ベンチバスター
バスボードよりさらに立つ動作を少なくして、浴槽に入ることができます。
バスボードは、浴槽に入るために一旦立ち上がってバスボードを取り外します。ベンチバスターは、取り外す必要がないため座った状態から腰を動かす動作で浴槽に入ることができます。
浴槽の中で使う椅子
浴槽台
浴槽の中に置いて使います。浴槽の中に全身を沈めてしまうと、立ち上がれないことがある方に浴槽の中で座っていただくと、立ち上がりが楽にできます。
シャワーステップやバスステップともいわれています。
浴槽台は踏み台としても使えます。長い面を浴槽につけて置き、手すりにつかまって浴槽台を踏み台にして浴槽をまたぐことができます。
入浴の介護で椅子を工夫する
浴槽の椅子にはこんな使い方もある
浴槽台は、変わった使い方もできます。
現在主流の長くて広い様式タイプの浴槽は、背中を付ける部分の面が緩やかな傾斜が付いています。
この緩やかな傾斜と長い浴槽は、高齢の方にはとても不向きです。
緩やかな傾斜は浴槽の中で体がくずれやすくなり、
体が小さい方は脚を突っ張ることができません。
結果的に浴槽内でプカプカと浮いてしまします。
浴槽の中では浮力が働き重量は1/10になるといわれます。
浴槽に入っていない頭部の部分の重量が重くなるために、脚の部分が浮いてしまうのです。
そこで、この浴槽台を浴槽の足の部分に立てて使います。そうすると、長い浴槽を短くすることができ、足が届くので突っ張ることができます。
ベンチバスターもどき
100%安全ではないので、あまりおすすめできませんが、ベンチバスターを使わずに似たような方法で入ることができます。
浴槽の縁を代用します。シャワーチェアは一般に浴槽に並べるように配置して、バスボードやベンチバスターに体を、スライドしてもらい浴槽に入ります。
この方法は、シャワーチェアの正面を浴槽につけます。
シャワーチェアに座ってもらい足を片方ずつ浴槽の縁にのせてから、体をしっかり支えながらシャワーチェアの正面を浴槽に近づけます。
ベンチバスターは浴槽の縁にまたぐように座りますが、この方法は浴槽の縁に座るようにして入ります。
個浴で浴槽用の手すりが、ド~ンと真ん中に設置されていて、
バスボードもベンチバスターも都度付け替えなくてはならないため、安易に考えた方法です。
介護職の方ならひょっとしたらこんな方法で、介助している方もいるかもしれません。
安全性を考えたらやはり正しい方法が一番良いです。
浴槽の椅子の購入とメンテナンス
介護保険で購入できる
入浴用の椅子は、介護保険で購入が可能です。
要介護認定を受け必要な方には使える制度なので活用しましょう。
購入する際はケアマネージャーさんに相談すると良いと思います。
購入した後のメンテナンス
浴槽の椅子で気を付けたいのがカビです。
浴室は湿度や温度、手垢など身体の汚れが多く、カビの原因を作ります。
特に介護用の椅子はゴムやネジなどがあり構造が複雑にできていて、汚れが溜りやくなっています。
出来るだけ熱いお湯をかけて洗い、外に置いて乾燥させましょう。
取り外せる座面の部分などは、取り外して洗うとカビが発生しにくくなります。
足ゴムの部分もカビやすくなるので、歯ブラシで丁寧に汚れを落としましょう。
まとめ
介護用の椅子で、最も使う頻度が多いのはシャワーチェアです。工夫しやすいものは浴槽台。バスボードやベンチバスターはあると便利です。
浴室の事故はとても多いので、安全に注意して入っていただきましょう。
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