認知症で「道に迷うことが多くなった」「自宅に帰れなくなる」そんなことがあるときは、SOSネットワークに登録しましょう。地域の事業所や店舗などに情報が配信。認知症の方の行方不明者のうち約97%の方が発見されています。SOSネットワークの流れや登録方法をご紹介します。
認知症の徘徊があるなら【SOSネットワーク】
認知症になってしまったご家族が、無断外出のおそれがある場合、いざという時に捜索の手配がスムースに運ぶシステムがあります。
それが、『SOSネットワーク』です。
SOSネットワークとは
認知症の人が行方不明になったとき、警察だけでなく、地域の生活関連団体などが捜索に協力して、速やかに行方不明者を見つけ出す仕組みです。
捜索に協力するのは
- タクシー会社やバス会社などの運転手
- 宅配や郵便配達、新聞配達などの地域を巡回する人たち
- ガソリンスタンドなどで働く人たち
- コンビニエンスストアなど夜間も営業している店
- 銀行や郵便局
- コミュニティFM放送など地方の放送局
- 町内会や老人クラブなどの住民組織
- 介護サービス事業者など
【 SOSネットワーク】 の流れ
警察などに捜索依頼があると、FAXやメールを使って協力業者・団体などに情報を配信し、行方不明者を捜索します。
捜索の依頼から発見までの流れを見てみましょう。
警察に捜索の依頼をする
認知症の方の行方がわからなくなったら、最寄りの警察へ連絡しましょう。
おじいちゃんが、見当たらないんです。
探してください!
名前・住所・ご本人がいなくなった時の状況や服装など
教えてください。
警察に連絡するときは、次のことを聞かれますので確認しておきましょう。
- 氏名・年齢・性別
- 行方不明になった日時
- 行方不明となった場所
- そのときの服装や持ち物
- 身長・顔の形(丸顔)・体格(中肉)・髪型(短い)・髪の色(白)
- 名前や住所を言えるか など
SOSネットワークで情報の配信
SOSネットワークを申請したところへ連絡します。
おじいちゃんが、見当たらないんです。
警察には連絡しました。
SOSネットワークに登録されているんですね。
関係機関に伝えます。
依頼の解除
SOSネットワークの情報で捜索者が見つかると、警察などから連絡が来ます。
おじいちゃんが見つかりましたよ。
交番に引き取りに来てください。
ありがとうございます。
すぐ向かいます。
連絡があったら引き取りに行きます。
捜索者が見つかったことを、登録したところに連絡し捜索の依頼を解除してもらいましょう。
【SOSネットワーク】の事前登録
SOSネットワークを利用するためには、事前の登録が必要です。
対象になる方の要件や事前登録について見ていきましょう。
SOSネットワークの対象者
- お住いの市町村で65歳以上の方
- 認知症で行方不明になる心配のある方
- 情報提供に同意された方
捜索依頼が出されると、氏名・年齢・行方不明になった時の服装などが情報として流れます。
事前登録には『同意書』がありますから、内容をよく確認しておきましょう。
※若年性認知症の方の対応をしているところもありますので、問い合わせてみてください。
事前登録の申請方法
- 事前登録申請書
- 同意書
- 写真
- 印鑑
事前登録には、『事前登録申請書』『同意書』の記入が必要です。
そして、捜索が必要になったときには、写真も必要となります。
写真は、申請先によって顔写真1枚の場合や、全身写真も必要になる場合があります。
また、名前シールなどの配布を行っているところもあり、杖や靴・かばんなどに貼ることができます。
事前登録の費用は無料です。お問い合わせの時に再度ご確認ください。
SOSネットワークの申請場所
- 市役所
- 地域包括支援センター
- 社会福祉協議会
各自治体によって申請を受け付ける場所が異なります。
市町村で発行している広報に、『SOSネットワーク』についての案内がないか探してみましょう。
見つからないときは、市役所に問い合わせてみましょう。
受付窓口は、福祉課ですが自治体によって課の名称が異なります。
「高齢障害支援課」「介護保険課」などありますから、『SOSネットワーク』の登録をしたいと伝えると、適切な課につないでくれます。
申請前に確認できること
登録のために出かける前に、電話で必要なものを確認しておきましょう。
また、申請用紙などはインターネットのページからダウンロードできる自治体が多くなりました。
「○○市 SOSネットワーク」と検索すると、すぐにページが見つかります。
【SOSネットワーク】協力者になれる
SOSネットワークでは、多くの方の協力が必要です。
事業所や店舗で登録する場合や、個人で登録することもできます。
事業所や店舗で協力登録を申し込む
事業所や店舗で協力の登録をするときは、市役所や地域包括支援センターに協力者の申請書が用意されています。
簡単に申し込みが行えますので、登録してみましょう。
個人で協力の登録を申し込む
各自治体で、広く個人に向けての協力も求めています。
インターネットで、お問い合わせフォームから申し込みできるところが多いです。
申し込みを行った後、捜索の依頼があるとメールで情報が配信されます。
そして、無事見つけることが出来ると、発見された旨のメールが届きます。
おそらく、登録するときの説明にあると思いますが、行方不明者が発見された後は、個人情報にもなるのでメールの削除が求められます。
自治体【SOSネットワーク】取り組み
自治体によって、SOSネットワークの取り組みには違いがあります。
名称も「認知症高齢者のSOSネットワーク」「徘徊SOSネットワーク」など、自治体によってそれぞれの名称が付けられていますが、「SOSネットワーク」とついていれば内容は同じものでしょう。
お名前シールの代わりに、QRコードが配布されているところもあります。
積極的にパンフレットの配布を行っているところも見かけます。
警察庁の統計データ(H26年中)
行方不明者数(認知症やその疑いのある行方不明者として届けられた人数):10,783人(対前年 4.5%)
※行方不明者の約97%については、1週間以内に所在が確認されており、自宅等に戻っている
「行方不明者の約97%が自宅に戻っている」という警視庁の統計データで、やや安心するものの、約3%については行方不明のままになっています。
身元不明に関する特設サイト
厚生労働省のホームページでは、『身元不明の認知症高齢者等に関する特設サイト」が設けられています。
行方不明の認知症の方が、身元不明のまま保護されている場合があり情報を公開しています。
2019年1月の情報での身元不明の保護数
北海道6名、埼玉県25名、千葉県3名、神奈川県22名、沖縄県1名などになっています。
2017年の80歳以上の行方不明者は、全国で1万476名。
SOSネットワークのような組織づくりで地域の結びつきを高め、「認知症になっても安心して暮らしたい」という気持ちに役立てたいです。
まとめ
SOSネットワークとは、認知症の人が行方不明になったとき、警察だけでなく、地域の生活関連団体などが捜索に協力して、速やかに行方不明者を見つけ出す仕組みです。
事前登録をすることで、認知症の方が行方不明になったとき迅速に対応できます。
個人でも捜索に協力することが出来ます。
登録の問い合わせは、お住いの市役所や役場に連絡してみましょう。
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