
「夜トイレが近い」と思うことが増えると、寝不足などで日中の生活にも影響が出ますね。高齢者施設の利用者の方にも、夜トイレが近い方が多く職員は試行錯誤しながら改善しています。そんな介護職員が試している対策についてご紹介します。夜トイレが近いことで悩んでいる方、そのご家族に試して頂きたい対策方法です。
夜のトイレは【残尿感や排便を観察する】
夜のトイレが多い原因には、残尿感がある場合や便秘がちな時もトイレの回数が多くなります。
寝る前にトイレに行った時には残尿をなくす工夫や、日中に排便を済ませるとトイレの回数が少なくなります。
残尿をなくす
残尿感は、排尿を済ませたのに「まだおしっこが残っている気がする」というものです。
トイレに行って10分もしないうちに、またトイレに行きたくなるのは、残尿感があるからかもしれません。
排尿が終わった後に、もう一度お腹に力を入れて「いきんでみる」お腹の下の方(おへその下あたり)を「押してみる」といったことをしてみましょう。
反射神経でお腹に力が入り、残尿を出すことができます。
カレンダーで排便を確認する
排便が滞ると尿が出にくくなります。
「おしっこが出たいような気がするけど、排尿があまりない」ときは、無排便が続いていることもあります。
また、「うんちをしたいけど、出てこない」ときもトイレに行くことが多くなります。
カレンダ―に排便のある日に印をつけておきましょう。
朝に冷たい水を飲んだり、腹部のマッサージやストレッチをして排便を改善しましょう。
トイレが近いときは【食生活を見直す】
塩分控えめ
塩分の多い食生活は、喉が乾き必要以上の水分を摂取してしまいます。
高齢になると甘さや塩辛さの感覚が低下してきますので、味が濃くなり過ぎていないかを確認してみましょう。
塩辛いものが多い時は、「酢」や「だし」を多く使い調理を工夫してみます。
野菜やくだもの摂取
野菜やくだものには、カリウムが多く含まれています。
カリウムは塩分の排泄を促す作用がありますが、多く摂りすぎると尿の回数が増えてしまいます。
高齢者施設で、いちごをたくさん頂いた時のことです。
いちごを水洗いすると「水くさくなるから洗わないで!」と利用者の方が言われたのでそのまま出して食べて頂きましたが、「夜のトイレがいつもより多くて眠れなかった」と話された方がいました。
カリウムは、水洗いすることで成分が流れますから、生で食べるときは水洗いをして食べるほうがいいでしょう。
夜のトイレは【体を保温して改善】
体を温めることで膀胱の血行がよくなり、膀胱の収縮を防いでトイレの回数を少なくできます。
靴下を履いて寝ると、足に密着している靴下から熱が逃げず、汗をこもらせてしまいます。
汗は体の温度を吸収します。
すると、温めているはずの足は実際冷えてしまうのです。
ですから、肌着を重ねて寝たり靴下を履いて寝ると、必要以上に汗をかき体を冷やしてしまいます。
そんな時は、寝具を温めて寝るのがよい方法です。
夜の暖房
快眠にするためには、お部屋の温度調整も必要です。
冬場の快適な寝る時の室温は15℃~21℃、寝る前にお部屋を暖めておきましょう。
何度も夜間に起きるときは16℃~18℃程度に室温を調節し、エアコンなどをつけっぱなしが良いかもしれません。
ただ、暖房のつけっぱなしは湿度が低くなり、喉がカラカラになります。
加湿器やお部屋に濡れタオルを干して、湿度を保ちましょう。
湯たんぽや電気毛布の活用
湯たんぽ
湯たんぽを布団の中に入れて、寝具を温めると眠りやすくなります。
現在、多く出回っている湯たんぽはプラスチック製の物が多く、70℃前後のお湯が適切と言われています。
効果があるかをペットボトルで代用してみましょう。
お茶用のペットボトルは高温に強く、2ℓサイズの容器にお湯を入れ、半分くらいの小さめのバスタオルで包んで、輪ゴムで止めて代用します。
介護施設ではきちんとしたプラスチック製の湯たんぽを用意していますが、私はこれで十分だと思っているので、自分では湯たんぽを買ったことがありません。
高温のお湯を湯たんぽに入れると、温かい時間は持続しますが、専用のカバーにバスタオルを巻いても熱いために、低温火傷のリスクが高くなります。
沸騰する前の70度前後のお湯を入れましょう。
また、足は湯たんぽから10cm~15cm離れたところに置いて使いましょう。
電気毛布
訪問診療の先生に相談してすすめられたのは、電気毛布です。
「湯たんぽは、低温火傷になる危険性があるからすすめません」とのことでした。
入床するまでは高温に設定しておいて、布団に入ったら弱にするかスイッチを切ってしまいましょう。
高い温度設定をすると、暑すぎて夜中に目が覚めてしまいます。
掛けてもダメなら敷いてみる
湯たんぽや電気毛布でも、夜のトイレが改善しないときは、敷き毛布を温かいものに変えてみましょう。
ボアシーツに変えるだけでも、保温性が良くなり体を温めることができます。
介護施設で寝つきの悪い方には、ボアシーツを利用していますよ。
トイレの回数を【体操で減らす】
骨盤底筋体操
骨盤底筋は、膀胱や子宮を支える筋肉で腹筋と同じく鍛えることができます。
高齢者施設で、ボールを膝に挟んで強く挟んだり緩めたりして鍛えています。
少し空気を抜いたほうが高齢者の方にはやりやすいようでした。
他に良い動画を見つけたので、試してみてください。
尿漏れの他にも頻尿にも効果が見込めます。
足上げ体操
高齢者の方で膝に痛みがある方は、日中は椅子に座って過ごすことが多く、足のむくみに繋がります。
足のむくみは、寝ることで血流が良くなりますから、それと同時に尿の回数が多くなります。
足先の血流は、足先を挙げてふくらはぎを動かすことで、滞った血流を改善します。
足を組んで足先を上下して運動してみましょう。
足をスツールなどにのせて、高くするだけでも効果が見込めます。
夜間にトイレが多い理由
尿は抗利尿ホルモンが寝ている間に分泌されて、夜の尿量を調整します。
しかし、高齢になるとホルモンの分泌量が少なくなり、調整がうまくいかず夜の尿量が増えてしまいます。
また、心理的なストレスも関係していて、「明日は外出の日だから早く寝なくっちゃぁ」と思えば思うほど眠れず、眠れないためにトイレに行くことが増えたりします。
利尿剤のお薬を飲んでいるときは、心臓の負担を少なくするために尿を排出するのですが、日中には排尿がないのに、夜寝るとトイレに何回も起きてきたりします。
原因は一つとは限らず、複数絡み合っていることが多いものです。
いろんな対策をとっても改善が見込めないときは、一度主治医に相談してみましょう。
高齢者が夜トイレに行くことが多いと、寝ぼけた状態で移動しますから転倒の危険も考えなくてはなりません。
あまりトイレに行く回数が多い時は、ポータブルトイレも活用していきましょう。
さいごに
「夜のトイレが近い」ことが、直接ストレスになることもあります。
生活する上で次のことに試して対策していきましょう。
- 残尿感や排便を観察する 残尿感があるときは出し切る、便秘にさせない
- 食生活を見直す 塩分を控えて、カリウムを工夫して摂る
体を保温して改善 湯たんぽや電気毛布で寝る時の体を保温する
体操でトイレを減らす 骨盤底筋を鍛える、足の血流をよくする
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