
「老人カート」「手押し車」とも呼ばれるシルバーカー。「杖の歩行だけでは安定しない」「荷物を運びたい」方におすすめなのがシルバーカーです。座れることで、長時間の外出や、遠距離での外出が安心して行えます。座れるタイプのシルバーカーの、種類や選び方・すすめる時のポイントについてご紹介します。
種類 座れるタイプのシルバーカー
シルバーカーは、外出したときに「荷物を運ぶ」「疲れたら座る」ために利用します。
自分で安全に歩ける方が対象で、「荷物を持って移動するのが大変」「疲れたときにすぐに座りたい」そんな方におすすめなのが、座れるタイプのシルバーカーです。
自力で歩ける方が対象となるシルバーカーは、介助の必要がないため介護保険の適用にはなりません。
3種類のタイプがある
座れるタイプには、次のようなものがあります。
- コンパクトタイプ 電車やバスを利用して外出するとき
- ミドルタイプ 買い物がメインで、荷物を運びたい
- スタンダードタイプ 座ることをメインに、荷物を収納したい
用途によって、重さや座面の大きさに違いがあります。
![]() | ![]() | |
コンパクトタイプ | ミドルタイプ | スタンダードタイプ |
電車やバスを利用 | 買物がメイン | 腰掛けメイン |
重量 2.7㎏ | 重量 4㎏ | 重量 7.2㎏ |
座面 | 座面 | 座面 |
折りたたみ 〇 | 折りたたみ 〇 | 折りたたみ 〇 |
袋 なし | 袋 | 袋 幅30×奥43×高16 |
テイコブナノン CPS01 | ワンダー ブルー OD10A ミドルタイプ | フォレストSH-MLT-5-TFR-10BG |
歩行器との違い
![]() |
歩行器は、歩行を補助するための機器です。
安定した姿勢を保持し、転倒の防止が可能です。
介助が必要な方の動作を補助するため、介護保険が適用になります。
選び方のポイント
移動の仕方で選ぶ
前輪キャスターの角度
前輪のキャスターで、シルバーカーの方向を変えていきます。
固定式は真っすぐの直進に適していますが、方向を変えるときに角度をつけられません。
回転式のものは、方向を変えることが容易ですが、直進して歩くことが難しくなります。
回転式の360度回転できるものは、病院などの屋内で小回りが必要なときに使うと便利です。
また、左右の角度を決めて回転の角度を固定できるものがあります。
タイヤの太さや大きさ
外出の際に注意したいのが、排水溝の金網(グレーチング)です。
シルバーカーのタイヤの幅が狭いと、金網の溝にはまって大変なことになってしまいます。
タイヤを太くすることで防げますが、その分重くなるというデメリットもあります。
また、タイヤが大きいサイズのものは、少しの段差を乗り越えることができ、でこぼこの砂利があるところも、比較的安定して進むことができます。
全体の重量を考える
コンパクトタイプは、超軽量のもので3㎏より軽いものも出回っています。
荷物を必要としない通院や集会などでは、負担にならず便利です。
しかし、どこかに立ち寄って買い物をすると、手荷物を入れる袋がないため、肩にぶら下げることが多くなってしまいます。
スタンダードタイプは、荷物も入り安定して座ることができますが、重量が重くなります。
スタンダードタイプは、休み休み座りながら、お近くの店舗にお買い物をするときに便利です。
シルバーカーに座るとき
買物をしていると、シルバーカーには座らず椅子に腰かけている方を見かけます。
シルバーカーに座るときは、「屋外で座るところがない場合に役立つ」用品であることを考えて、外出先やその頻度で選んでいきましょう。
操作で選ぶ
下り坂のブレーキ
下り坂で必要になるのがブレーキです。
シルバーカーのブレーキは、バーハンドルタイプとグリップタイプがあります。
左右の握力の違う方や、握力自体が弱い方は、両手の握力でブレーキをかけられるので、バーハンドルがおすすめです。
停止してしっかり固定したいときは、後輪にロックできるペダル式の駐車ブレーキがあります。
折りたたみ機能
スタンダードタイプにも、折りたためるものが増えました。
目立つように色付きのロックレバーがあります。
ロックレバーを解除してたたみます。
機種によっても違いがありますので、購入前に確かめましょう。
すすめるときのポイント
足腰が弱りはじめ、「杖ではどうにも不安」と周囲の人たちが思っても、なかなかご本人に受け入れられないのがシルバーカーです。
両手で立位を安定させ、バランスをとりやすくするので、取り入れたい用具です。
しかし、「老人カート」であるシルバーカーは、ご本人の老化を受け入れるステップにもなります。
すすめ方を間違えると、「みっともない!」「必要ない!」と嫌がられてしまいます。
「必要ない!」とご本人が思っているとき
杖を使っている場合は、歩行に不安があるため、杖を使っていることになります。
「補足する」という言葉は、「負のイメージ」を連想させます。
ですから、「プラスのイメージ」ですすめてみましょう。
「もうすぐ花見だね。みんなと一緒に行こうよ」
「シルバーカーがあると、座りながら桜が見れるよ」
といったように、プラスのイメージができるようにすすめてみましょう。
迷っていることもある
杖よりも高価なものが多いシルバーカーは、購入の段階で迷うこともあります。
ご自分で購入するには、すぐに決断できないことも多いのです。
そんなときは、パンフレットを一緒に眺めて、「これいいね」「オシャレなのもあるんだね」と話してみましょう。
買物のときに、ご本人の目に留まるようになりますから、気にしはじめたら、すすめてみましょう。
さいごに
「コンパクトタイプは、電車やバスを利用して外出するとき」「ミドルタイプは、買い物がメインで荷物を運びたいとき」「スタンダードタイプは、座ることをメインに荷物を収納したいとき」など、使う頻度の多い用途で選びましょう。
キャスターの大きさや太さは、移動によって障害物に対応しやすくなります。移動するためには、重量も考える必要がありますから、できるだけ軽量のものを選びましょう。
バランスを保ちながら歩くことができるので、自分で歩ける機会が多くなるように、必要な方にすすめてみてください。
おすすめの記事