季節の変わり目
暑かった夏がおわり秋の到来を迎えると、認知症状に変化が現れたりします。季節の変わり目と、認知症状にはどんな関連があるのでしょうか。自律神経の変化についても調べてみました。
症状が悪化する
認知症の方々には、たくさんの症状があります。その症状が強く出るときは、身体的・精神的になにか訴えがある場合が多いものです。具体的にその状態を表現できないときに、認知症の症状として現れます。
睡眠パターンが崩れる
グループホームに入居する80歳代の女性。幻視が多い彼女は、夜間になると他界したご主人のことを探します。「今、お父さんと話してたのに、どこへ行ったの」と話したり、探し始めたりします。
こんな時は、介護士がゆっくり話を聞くことで落ち着き始め、そのうち疲れ眠くなったタイミングで居室に案内します。すると、朝までゆっくり睡眠できるのです。
しかし、季節の変わり目になると、夫を探す捜索活動は止むどころではなく、外に出て探そうとするのです。あの手この手で、なんとか踏み留めて朝の5時頃になり彼女はやっと眠りにつきました。
怒りっぽくなる
グループホームに入居する90歳代の女性。「あなた!あなたよ!」と職員を呼んで「○○しなさい」と命令する彼女の症状は、排泄のときに多く現れます。
こんな時は、話を聞きながらトイレに案内します。排泄が無事おわると、人が変わったように穏やかになり「ありがとうございます」と落ち着き始めます。
しかし、季節の変わり目になると、トイレに案内しても「○○しなさい」の訴えは続きます。無理やりでもトイレに案内しようものなら「殺される~」と叫び始めます。
『季節の変わり目』と『自律神経』
自律神経の働き
自立神経は体の働きをコントロールしながら、環境を整える神経です。運動神経などは体を動かそうという意思が働いて動きますが、内蔵などは意思とは関係なく動いています。それが、自律神経の働きです。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経は起きているとき活躍する神経で、副交感神経は寝ているときに活躍する神経です。そして交感神経と副交感神経がバランスを保って、体を維持するわけです。
季節の変わり目になると
季節の変わり目になると、気圧の変動があり自律神経のバランスを崩しやすくなります。具体的には、耳の奥にある内耳が関係していると言われています。鼓膜のさらに奥にある内耳は、平衡感覚に関係があり身体のバランスを取ったりしています。気圧の変化がこの平衡感覚をくるわせてしまいます。
代表的な症状として、立ちくらみ・めまい・だるさなどがあり、便秘・寝汗・頻尿などの症状も現れます。
季節の変わり目の対応
認知症状が強く現れた場合に、季節の変わり目が原因のひとつにあるということも想定しましょう。気圧の変動は変えようがありませんから、気候が落ち着くまで様子を見ましょう。
対応としては、リラックスできる状態を作ること、適度な運動を取り入れる、カルシウムの摂取を多くしてイライラの減少に取り組むのもよいでしょう。
一番効果的なのは、その方の話に耳を傾けることです。自分でもどうしていいのかわからないけれど、なんだか調子が悪いと思っているはずです。話を聞いてもらうだけで、気分が落ち着くことがあります。
気圧の変動は変えられませんが、気分を変えることは、取り組みによって可能です。春に多いと言われる『季節の変わり目の症状の変化』は秋にもあることを知っておけば、介護する側のこころの準備も出来るものです。