
高齢者になると膝の関節が痛んで歩けない、寝たきりの状態になるなど様々な体の不調がでてきます。少しでも良くなるように、「マッサージを受けさせてあげたい」しかし、「治療院に通うのは大変」そんな時に考えるのが、訪問マッサージです。気になるのは料金。体の状態によって、医療保険を利用することができますので、低料金で利用できます。
訪問マッサージの料金
自費でマッサージを受けると、30分で3,000円程度の料金がかかるマッサージ。
訪問マッサージは、歩行が困難な方や寝たきりなどで歩けない方、治療院に通院できない方のためのマッサージです。
医師が必要だと診断すると訪問マッサージを医療保険を使い、1割~3割の低料金で利用できます。
主な料金は「マッサージ料金」と「往診料」
訪問マッサージは、「マッサージ部位の料金」と「往診料」で構成されています。
マッサージ部位の料金
1ヶ所の部位【340円】(1割負担の場合)
訪問マッサージは、マッサージを行う身体の部位を5つに分けて行います。
①体幹 頭部,頸部,胸部,腹部,骨盤部
②右上肢 右の腕や手
③左上肢 左の腕や手
④右下肢 右足
⑤左下肢 左足
料金の算定は、何ヶ所を施術したかで計算されます。
変形徒手矯正術の料金
1ヶ所の部位【780円】(1割負担の場合)
変形徒手矯正術は、手足の四肢に関節の拘縮・麻痺などがある場合、関節の可動域が制限されている状態を、できるだけ元の状態に戻していく施術です。
この施術も何ヶ所を行ったかで計算されます。
温あん法の料金
1回の料金【80円】(1割負担の場合)
温タオルなどで患部を温め、マッサージの効果をあげる施術です。
往療の料金
往診料は、「治療院」からの距離で算定します。
往診を行うために必要な交通費と考えてもよいでしょう。
0.1㎞~4.0㎞の料金【2300円】
4.1㎞~16.0㎞の料金【2700円】
直前に患者の施術を行った場合は、「直前の患者宅」か「治療院」の近いほうで算定することになっています。
同一の建物内(介護施設から介護施設への移動・ご自宅で2人の施術を行う場合)の移動は、往診料を交互に請求することになります。
また、治療院から16㎞以上の直線距離にある場所への施術は行えません。
訪問マッサージを受ける その他の料金
キャンセル料金
1回のキャンセル料金【0円~半額程度】
キャンセル料は、治療院によってまちまちです。
キャンセル料がないところもありますし、半額支払いのところもあります。
また、予約に対して事前にキャンセルを行うか、当日のキャンセルを行うかでも、キャンセル料に違いがあります。
契約するときに確認しておきましょう。
同意書料金
1回料金【100円】(1割負担の場合)
同意書料金は、医療保険を利用して施術を受ける場合に必要です。
医師に、施術を受けることを同意(診断)してもらう料金です。
訪問マッサージ 料金例
具体的にどれぐらいのマッサージ料金が、必要なのかをみてみましょう。
施術時間は、概ね30分程度です。
料金例 1
次の場合を想定して、料金をみてみましょう。
両膝に関節症があって、左右の足に施術を行った場合。 |
回数は週に2回で、自己負担が1割の方。 |
治療院からの直線距離が3㎞の場合を例にとってみてみましょう。 |
- 疾病(変形性膝関節症)左右の足の筋力が低下している
- マッサージ局所(2ヶ所、両足)
- 利用回数(週に2回)
- 自己負担割合(1割)
- 往診距離(3㎞)
マッサージ料金 340×2(両足) = 680円
往診料 4㎞ 以下 2,300円
1回の料金 680円 + 2,300円 = 2,980円
月額の料金 2,980円×8(週2回) = 23,840円
自己支払額 23,840円 × 0.1 = 2,384円 (1ヶ月×8回)
自己負担割合 2割の場合 × 0.2 = 4,768円 (1ヶ月×8回)
自己負担割合 3割の場合 × 0.3 = 7,152円 (1ヶ月×8回)
料金例 2
上記の例よりも更に身体状況が悪い場合の例です。
両膝に関節症があって、左右の足に施術を行った場合。 |
変形徒手矯正術(1ヶ所=780円)を左右の足に施術します。 |
回数は週に2回で、自己負担が1割の方。 |
治療院からの直線距離が、今度は5㎞の場合を例にとってみてみましょう。 |
- 疾病(変形性膝関節症)左右の足の筋力が低下し、車椅子使用
- マッサージ局所(2ヶ所、両足)
変形徒手矯正術(2ヶ所)
- 利用回数(週に2回)
- 自己負担割合(1割)
- 往診距離(5㎞)
マッサージ料金 340×2(両足) = 680円
変形徒手矯正術 780×2(両足) = 1,560円
往診料 4㎞ 以上(5㎞)= 2,700円
1回の料金 680円+1,560円+2,700円 = 4,940円
月額の料金 4,940円×8(週2回) = 39,520円
自己支払額 39,520円 × 0.1 = 3,952円 (1ヶ月×8回)
自己負担割合 2割の場合 × 0.2 = 7,904円 (1ヶ月×8回)
自己負担割合 3割の場合 × 0.3 = 11,856円 (1ヶ月×8回)
訪問マッサージは医療保険で支払う
訪問マッサージは医療保険を使う
訪問マッサージは、公的医療保険を使い支払います。
公的医療保険には次のようなものがあります。
- 国民健康保険 (加入者は自営業やフリーターなど)
- 後期高齢者医療保険 (加入者は75歳以上の後期高齢者)
- 社会保険 (加入者は会社員など)
医療保険と介護保険 介護保険が優先される
保険を使いマッサージを受ける場合、医療保険を使う『訪問マッサージ』と介護保険を使う『訪問リハビリ』があります。
- 訪問マッサージ 医師の同意書が必要
- 訪問リハビリ 医師の指示が必要
訪問マッサージは、あん摩マッサージ指圧師が施術を行い、医師よる疾病の診断のあることが条件になります。
訪問リハビリは、理学療法士によって、医師の指示のもと治療を行います。
医療保険と介護保険の関係は、介護保険の方が優先されます。
訪問リハビリは、介護保険を利用しますが、特定の疾病では医療保険の適用も認められています。
訪問マッサージは介護保険を使えない
訪問マッサージは、医療保険の分野で介護保険は利用できません。
しかし、利用を検討するときは、ケアマネージャーに相談してみましょう。
ケアマネージャーは、介護保険だけではなく、その方が利用するサービスを把握してケアプランを作成しています。
そのため、マッサージという身体に関係したサービスを受けるときは、「こんな希望がある」ということを伝えておきましょう。
良い治療院を紹介してくれるかもしれません。
訪問マッサージが使える施設
介護保険を利用できない訪問マッサージですが、施設にいる方の場合でも、訪問マッサージを利用できる場合があります。
施設にはいろいろなタイプの施設があり、理学療法士が在籍している介護保険施設での利用は行えません。
有料老人ホームやグループホームなどの介護施設は、利用が可能ですからケアマネージャーに相談してみましょう。
さいごに
訪問マッサージの料金は「マッサージ料金」と「往診料」で算定されます。
医療保険の負担割合は、1割~3割までありますから、利用される方の負担割合で計算しましょう。
訪問マッサージは、歩行が困難な方や寝たきりなどで歩けない方で、治療院に通院できない方のためのマッサージです。
マッサージを行うと、足のむくみが改善されたり、良い睡眠につなげることもできます。
私がいる介護施設では、施術の後にお通じが良くなる利用者さんもいます。
訪問マッサージの料金も考えながら、賢く利用していきましょう。
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