2019/8/15

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認知症の症状

認知症の帰宅願望「誰もいねぇ!」と我が子を探すとき

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帰宅願望

認知症の心理・行動障害に『帰宅願望』があります。ご自宅にいても「家に帰る」と言う方もいますから、一言に『帰宅願望』と言っても症状はさまざまです。その中で我が子を探す『帰宅願望』について見ていきます。

夕方になると落ち着かない

夕暮れには家に帰る

幼いころは、「もう家に帰るころ」だというのを、夕暮れを基準にしていたのだろうと思います。みな家に帰るために、遊び道具を集めて支度をはじめたものです。

夕方になると父親は仕事を片付けるのでしょうし、母親は夕飯の支度にかかります。

夕方は淋しくなる時間

以前、私の母は「夕方になると、なんだか淋しくなるよね」と言っていたことがありました。なぜそう思うのかを聞いてみましたが、母は「どうしてだろうね」と言っていました。

母が言うには、辺りが暗くなり夜になってしまうと、その淋しさはなくなるのだそうです。

この感情は、夕方になったからといって、すべての人に沸き起こる感情ではありません。実際、私はこの会話をした母の年齢を越えましたが、夕方になっても淋しいと思うことはありません。

夕暮れ症候群

夕方になると落ち着けず、ソワソワと歩き回ったりする症状を『夕暮れ症候群』といいます。認知症の方にとても多い症状だと思います。

私の祖母は80歳代に故郷から、娘である母のもとへやってきました。祖母は越してから間もなく認知症を発症したのです。

祖母は夕方になると「家に帰る」と言って、外へ出てしまいます。帰っても故郷には、住んでいた家はありません。何度説明しても忘れています。

頻繁に出ては居なくなって探すことになり、家中に鍵がつけられました。そして、祖母は外へは行けなくなりました。

今でこそ、認知症という立派な症状名になりましたが、当時は『ボケ』というなんとも悲しげな呼び方をされたものです。

そして、このように夕方になると現れる症状を『夕暮れ症候群』と言うようになっています。

その後、私は認知症対応型のグループホームで働くようになりました。

我が子を探す・・帰宅願望

グループホームにも多い症状

80歳代の女性がグループホームに入居してきたときの、おはなしです。小柄で愛嬌のある彼女は、思わず「・・ちゃん」と呼んでしまいたくなるような人です。

上長にとがめられ「・・ちゃん」と言うことはなくなりましたが、お道化たり踊ってみたりして、一緒にいるととても楽しくなるのです。

しかし、問題なのは夕方になるころです。

表情は一変して険しくなり、ソワソワと落ち着きません。座っていられないのか、立ち上がりあちこち何かを探し始めます。

彼女はいつも「誰もいねぇ」と言って、フロアを歩き回ります。フロアには他の利用者さんもスタッフもいるのに、いつも「誰もいねぇ」と言うのです。

その人を知る

あまり頻繁に「誰もいねぇ」と言うので、誰を探しているのかを聞いてみました。はじめのうちは、はっきりとした答えは返ってきませんでした。尋ねると「なんでもねぇ」と言ったり、「邪魔すんでねぇ」と答えていました。

どう考えても「誰もいねぇ」という言葉が気になって、何度も聞くうちに彼女が「おれんち(私の家)の子がいねんだぁ」と言ったことがありました。

彼女が探していたのは、『我が子』だったのです。彼女は80歳代ですから、お子様たちは50歳代です。彼女は夕方になると、半世紀もタイムリープしていたのです。

背景が分かると対応できる

夕方に我が子を探すために、ソワソワしていたのが分かりました。

それ以後、彼女には夕方、台所で夕飯のお手伝いをお願いするようにしました。

はじめは嫌がるのですが、「お子さんが帰るまでに、ご飯を作った方がいいですよ」と声をかけると、「どうだなぁ」となんとか繋げることが出来ました。

夕飯の配膳が始まり、食べ終わるころには落ち着いています。

その方の生活歴や背景を知ることはやはり重要なのがわかりました。

帰宅願望はとても複雑

このおはなしは、特に対応がうまくいった例です。

自宅に居ながら、「家に帰る」と言う方がいましたが、その方は新婚の頃にタイムリープしていました。帰宅願望は、その方がいつの時代にいるのかという、背景をつかむことも、ポイントになりるのだなと思いました。

夕方になると、落ち着かなくなったり淋しくなるのは、その方の生きてきた背景にとても関係が深いのでしょうか。

私の母は、今でも夕方になると「淋しくなる」と言っています。

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