感染症
11月頃から介護士にとって気になるのが感染症。介護士のみなさんはインフルエンザの予防接種は受けられましたか?予防接種している利用者さんでも感染症にかかることもありますので、利用者さんへの基本的な対応や対策などを見ていきます。新人の介護士さん必見です。
感染症発生時の対応
対応や対策を覚えているようでも、案外忘れていることもありますので、確認していきましょう。
感染者への対応はどうするの?
利用者さんが、発熱、嘔吐・下痢などの症状がある場合は、感染している可能性がありますので居室に案内しましょう。
医師への連絡や受診はもちろんですが、バイタルチェックを行い表にするなどして、体調の変化を観察します。熱がある時は、クーリングを行い肌着の交換も必要に応じて行いましょう。
感染症の診断がある場合は、ベッドで休んでいただき食事なども居室で対応します。感染症キッドやポータブルトイレの用意も必要です。
オムツが必要な方には、便などが長時間付着しないようこまめに交換します。定期的な換気も必要です。
食事が難しくても、健康飲料などの水分補給をしていただきましょう。
入浴については、清拭で対応することをお勧めします。
介護士に症状がある場合は、欠勤となると思いますが、管理者に相談するのが良いでしょう。
二次感染を防止する
感染症の恐ろしいところは、二次感染で施設中に広まってしまうことです。特に感染した利用者さんに接触することの多い介護士は、感染を広げる媒体となってしまいます。
できれば、特定の職員に限定するのが望ましいですが、現実的には難しいものです。居室に出入りする介護士は、マスクや手袋を着用し入室前後にうがい手洗いを徹底して行います。
ご家族の面会などは、事情を説明し別の機会にするか、またはうがい手洗いマスクの着用を依頼します。
通常の清掃に加え、施設内の消毒を徹底します。手すり・ドアノブや電気のスイッチなど、触れることが多いところは消毒を行います。
消毒剤は500mlのペットボトルに水を入れ、ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムをキャップ1杯入れて希釈します。使い捨てができるようなタオルを使います。ビニール袋に使用後のタオルをいれ、消毒液に浸してからビニール袋を縛って捨てます。
感染源・感染経路
病気のもと 2種類の病原体
病気を引き起こす微生物を病原体と言います。病原体には、細菌とウイルスがあることを覚えておきましょう。
自分の力でクローンを増やす 細菌
細菌とは、目には見えない小さい生物(単細胞生物)です。細菌は人の体に侵入して、同じ菌を複製します。体に良い菌は体内の環境を整えますが、悪い菌は病気を引き起こします。
- 肺炎を引き起こす肺炎球菌
- O-157などの大腸菌
- 喉を痛める溶連菌
- 食中毒を起こすサルモネラ菌 などがあります。
人の細胞にくっついて増える ウイルス
ウイルスとは、細菌よりもさらに小さく細胞自体がありません。人の体に侵入して、細胞に入り込んで増殖します。
- 鼻やのどに感染する風邪
- 胃腸で増殖するノロウィルスなどの感染性胃腸炎
- インフルエンザ・デング熱やエボラ出血熱 などがあります。
感染はどこからはじまるの?
細菌やウイルスを含むものを感染源といいます。
- 感染した人や動物(宿主)
- 嘔吐物や排泄物
- 痰などの分泌物
- 血液や血液が付着した器具 などがあります。
これらの感染源によって細菌やウイルスなどの病原体が、体内に入り増えていくことで、発熱・下痢・咳の症状がはじまります。
主な感染経路 4種類を覚えよう
細菌やウイルスが、どのようにして口や鼻から体内に入り込むかを、覚えておきましょう。
主な感染経路は4種類
- 空気感染 咳などで遠くまで空気中に飛び出し、吸い込むことで感染します。
- 飛沫感染 唾液などが空気中に飛び出し、吸い込むことで感染します。
- 接触感染 皮膚や粘膜を直接触ることで感染します。
- 経口感染 汚染された食べ物を、食べたり飲んだりして感染します。
感染症予防
介護士が日常に気を付ける予防策
手洗いの習慣
基本的な手洗いを習得しましょう。
- 流水で洗う
- 液体石鹸・ペーパータオルを使用する
- 水道栓はペーパータオルでしめる
- 30秒かけて丁寧に洗い、乾燥させてエタノールなどで消毒する
きれいに洗ったと思う手には、菌が付いているものです。手の甲や指の間、手首もきれいに洗いましょう。
手袋の着用
普段のケアで手袋を使っていますが、同じ手袋を使って他の利用者さんの介助をしないようにしましょう。1ケア1手洗いが基本です。
使い終わった手袋は表面が内側になるように脱いで、手首のことろを縛って捨てます。
利用者さんの観察ポイント
利用者さんの変化に、はじめに気付くのは介護士です。バイタルチェックの他にも、咳や鼻水、痛み、便の様子なども観察して、迅速な対応につなげましょう。