介護士の笑顔
人は笑顔でいるとき、とても幸せな状態なのだと思います。気持ちは安定しているし、何かに取り組もうとするものです。笑顔がもたらす効果は、介護士にとっても抜群の効果が期待できます。
笑顔の効果
接客業から学ぶ笑顔
先日、奮発して高級ジェラートを食べに行きました。話題のお店で、レジには何人もの人が並んでいました。
店員さんが2人いて、一人はとても笑顔の素敵な店員さん。もう一人の店員さんは、表情ひとつ変えない店員さんです。
表情を変えない店員さんは、怒っているわけではないのでしょうが、ムスッとしていてなんだが近寄りがたい気分でした。
介護士の笑顔
介護の業種は、医療・福祉系ですが、仕事相手が人である点において、接客の要素が十分にあります。
ストレスが多いと言われる介護の仕事で、笑顔でいられないことも日常多いものです。しかし、接客から転職した介護士に、笑顔が多く感心させられます。笑顔の多い人には、近寄りやすく安心できるものです。
これは、利用者さんにも十分に当てはまり、私たち介護士にとって介護がしやすくなるコツのようなものです。
笑顔がときほぐす
開かない手の平
私が新人だったころ、介護タクシーの付き添いをしていたことがありました。週3回透析のために通院する、利用者さんの送り迎えをしていたころのはなしです。
その方は80歳代の男性で、歩行が難しく車いすを使用しています。小柄ですがとてもオシャレをして、通院されていました。寡黙なのか言葉が不自由なのか、話しかけても返事は頷くことが多かったです。
話しかけても、帰ってくる返事はないので、新人の私はこの沈黙を何とかしようと必死でしたが、すぐに会話は途切れてしまいます。
問題だったのは、夏でもはめている手袋でした。左手だけ、握ったように固くなり指が開いてくれないのです。手袋をはめる作業は、往復2回ありとても大変な思いをしていました。
笑顔はこころだけでなく、体もときほぐす
先輩に相談すると、「そんなに難しいかなぁ」ということなので、同行させていただきました。
同行すると、利用者さんは、先輩と話をしながら笑っています。一度も笑った様子を見たことがない私は、「えっこんなに笑うの?」と驚きです。
そして、笑った利用者さんの手の平は、自然と開くのです。その時、先輩はすかさず手袋をはめていく。なんとも、すごいテクニックだと思えました。
ストレスがある時にも笑顔でいられる?
こころに余裕がないとき
介護の業務に追われる中で、「あの・・」と利用者さんに呼ばれたかと思うと、ふらつきながら立ち上がる利用者さんがいたりして、こころに余裕のある時は割と少ないものです。
そんな中で笑顔でいるのは難しいかもしれません。食が進まなくなった利用者さんの食事介助をしていた時、傍てみていた他の利用者さんが「そんなおっかない顔されたら、食べれるものも食べられないよね~」と言われたこともあります。
笑顔には抜群の効果があると分かっていても、知らず知らずのうちに表情は「おっかなくなっている」というのは、恐ろしいことです。
不満があるとき
また、スタッフ間で意見に違いがあって、同意が得られないような時には、不満が残ってしまい、ふてくされたような表情をするときも、たまにはあるものです。
こんなとき、利用者さんはとても敏感です。不満のオーラが出ているのでしょうか。トイレなどに誘うために声掛けしても、スムーズにいかなかったりします。
立場を変えてみると分かる
冒頭でお話したジェラート店の店員さんがいましたが、こんな状態はあのムスッとした店員さんによく似ています。
接客といえども、いつもニコニコと笑顔ではいられないでしょうが、客の立場からするとやはり笑顔で対応してほしいものです。
こころに留めて、心がける。習慣は人格をつくると言いますから、接客の経験のない介護士の方は、こころに留めておくとよいかもしれません。