感情労働
肉体労働の対義語として頭脳労働があり、その中に感情労働というものがあるそうです。ストレスを溜めやすい職種のことを指しますが、介護士もその職種に入っていることをご存知ですか?介護士の抱えるストレスとそれを乗り切る言葉について介護士の目線で見ていきます。
感情労働ってなに?
介護士って肉体労働・・・
私たち介護士は、自分の体を資本にして仕事をしています。腰痛を患うようになると、介護士の仕事を継続するのは難しくなります。
介護全体でみると、相談業務などの事務仕事もありますから介護系が肉体労働と言うわけではありません。しかし、そのほとんどを占める介護士の仕事の内容は、入浴・排泄・食事・生活リハビリといった、主に身体を使う仕事です。
肉体労働ではありますが、日常的に使っているのは、自分の体だけではありませんね。利用者さんとコミュニケーションをとる時や、介助を嫌がらずに受けてもらうために、感情を受け止めながらケアしていると思います。
介護士は『ライトブルーカラー?』
ブルーカラーとは、現場で作業をするような肉体労働をしている人のことを言います。それに対比してホワイトカラーは、頭脳労働をする人のことを言います。
もちろん、仕事というのは頭と体を使って行いますから、比重の高い分類ということになるわけです。
では、感情を扱う仕事はどちらになるかと言えば、頭脳となるわけでしょうが、ちょっと同じ分類にはできない感じがします。
感情を扱う仕事
感情を扱う仕事といえば、クレーム対応の接客がすぐに浮かんできますが、CAや看護師、そして介護士が代表的な職業なのだそうです。
そして、そのような職業の分類を『感情労働』と言うらしいのです。どの職業もすばらしい仕事ですが、相手の感情にうまく対応できないと、ストレスの多い仕事となってしまいます。
対応をするために、私たち介護士もある程度自分の感情を抑えなくてはなりませんが、結果的にそうすることで賃金を得ている職業なのだ、と言われば否定はできません。
介護士の感情労働
感情が抑えられなくなると・・
快・不快を現すのが感情だとすると、身体的な状態も快・不快を左右する大きな要因となります。
先日、グループホームに勤務する介護士が夜勤明けに、入居する80歳代の女性に暴力をふるい骨折させたニュースを見ました。介護士は「夜勤明けで疲れていた」と話したそうです。
身体的な疲労が、感情をうまく抑えられなくなったのだと思います。
ダイレクトに感じるからおもしろい
『感情を抑える仕事』と言われると、なんだか悲しい気がしますが、その分受け取れる相手の感情はダイレクトです。それが興奮や怒りである場合もありますが、喜びであったり笑顔であったりもするのです。
よく商品説明で『お客様の声』に喜びのメッセージが載せられています。そのような内容を読むと、「あぁ、いい商品なんだな」と思いますが、友達に「これ とってもいいんだよ!」と生の声を聞くと、もっと実感できると思うのです。
介護士の仕事は、毎日この生の声を聞いているよう仕事ではないでしょうか。
感情労働を乗り切る言葉
介護士がストレスを感じたとき
介護士が利用者さんの対応でストレスを感じたときは、一旦その場を離れたり、他の介護士に交代してもらったりなどの対応があります。
なにより職員同士がそのストレスを理解していることが、解決の糸口になります。
私たちが同じ職場の介護士にストレスを打ち明けたとき、「あなたの対応が悪いんじゃないの!」と言われてしまうと、もうどこにもやり場がなくなってしまします。「わかるよ~」の一言で気持ちが楽になるのです。
気持ちの共有は、次の一歩につながる
気持ちを分かってもらえても、問題の解決にはなりません。しかし、自分の気持ちを受け止めてもらえると、次にその問題を解決しようという気持ちが出てくるものです。
自分の職場にそう言ってくれる人がいない場合もありますが、その時はあなたがその発信者になりましょう。あなたが良いと思って行動したことに間違いがなければ、必ず賛同してくれる人が出てきます。
「ありがとう」「大変だったね」「がんばったね」と声をかけあうことが、介護士の感情労働を乗り切れる言葉だと思います。
さいごに
この気持ちの共有を利用者さんとできたとき、対応のストレスが軽減できると思っています。