
介護の仕事で一人で夜勤をしていると、夜間帯にこなさなければいけないことが結構あるものです。しかし、すべて完璧にこなそうとすると、ストレスは半端ではありません。オーバーワークにならない、力の抜き方やあきらめ方を身につけるのも方法の一つです。ストレスが溜まり始めている方にご紹介します。
一人夜勤で対応が「しんどい」
一人夜勤で辛いのは、何かあっても一人で対応することです。
夜勤で「しんどい」と思う対応は、こんなことがあります。
- ナースコールを押しまくる
- 処置が必要
- バイタル測定が必要
- 夜中に徘徊する
- トイレに何度も起きる
1.ナースコールを押しまくる利用者さんの対応
日中は訴えもない、おとなしい感じの利用者さん。
なのに、夜間帯になるとナースコールが頻繁になる。
「薬を飲んだか?」「喉が乾く!」「背中が痛い!」と訴えは止まない。
背中に塗る軟膏を塗り過ぎて、皮膚が赤くなってきている。
処方通り「1日3回までです」と伝えると、コールはさらになり続ける。
説明しても忘れてしまうので、「コールがなる→説明する」を一晩に何度も続け、明け方に利用者さんはやっと寝入る。
実に「しんどい!」
こんなこともある
ナースコールがなって、軟膏の代わりに保湿剤を塗ってみた。
これなら何度でも塗れる!
保湿剤を塗った後「他に用事はないですか?」と尋ねてみた。
利用者さん「う~ん、ないな」と仰るので退出する。
コールがなる度、「他に用事はないですか?」と聞いてみた。
この対応を夜勤の度つづけた 。
4回目の夜勤で、ナースコールは1度もならなかった。
2.処置が必要な利用者さんの対応
床ずれのある利用者さん。医師の指導で処置をする。
1日3回、洗浄して軟膏を塗ってガーゼで保護する。
日中帯に2回、夜勤帯の朝方に処置をする。
これからはじまる、朝の介助のピーク前に、物品を用意して・・
疲れがドッと出る感じ!
こんなこともある
スタッフが協力して、こまめに処置した。
半年後、床ずれは無くなった。
それからは、床ずれはできなくなって、朝の15分が有意義に過ごせている。
3.バイタル測定が必要な利用者さんの対応
看取りに入った利用者さん。
このグループホームに、看護師さんはいない。
介護士に出来るのは、バイタル測定と意識確認。
夜中、眠っているような・・。
「眠ってるの?」「呼吸が浅いみたいだけど・・」心配になる。
「サチュレーション80%台になってきた・・こっこわい」
記録はいつもの倍以上を書いた。
落ち着かないまま、朝を迎えた。市販の測定器ではエラーが続く。
こんなこともある
夜勤明けの10時頃、利用者さんはご家族に看取られながら旅立った。
「朝まで頑張ってくれて、ありがとう」
利用者さんに感謝の気持ちでいっぱいだった。
4.夜中に徘徊する利用者さんの対応
皆さんが寝静まったころになると、起きだす利用者さん。
一度起きだすとなかなか寝てくれない。
「火事なんです!寝ていられません!」と火災報知器の赤いランプを指さす。
そのうえ、「皆さん火事です!!寝てる場合じゃないですよ!」と叫ぶ。
もう、どうしていいのか??わからなくなる。
こんなこともある
こんなことが続くのでスタッフで話し合い、就寝の時間を遅くしてみた。
軽減していた首のかゆみの軟膏も再開する。
1週間後から、朝までぐっすり眠るようになった。
5.トイレに何度も起きる利用者さんの対応
足にむくみのある利用者さん。
朝に利尿剤を飲んでいる。
日中は排尿がないのに、夜になると何度もトイレに起きる。
足元がふらつくので、トイレの度に見守りに行く。
一晩に15回以上が常になっている。
1時間に1回以上って・・介助する方も大変!
こんなこともある
日中は、部屋で寝ることを嫌がり、椅子に座って過ごされている。
足を台に乗せて頂き、足を高くしたり、ふくらはぎを動かして体操してもらう。
塩分もかなり工夫して減らした。
1ヶ月以上過ぎたころ、足のむくみがよくなってきた。
今でも、2~3回はトイレに行くけれど、ポータブルトイレを使い移動も少ない。
介護の夜勤明けの朝が激務
夜勤の激務は、朝かもしれません。
午前1時頃からの睡魔をはねのけ、迎えた朝には疲れもピークを越えているころです。
しかし、ここから更なる激務がはじまります。
- 失禁でシーツが汚染する
- パジャマから服に着替える
- 洗面や歯磨きなどの整容のお手伝い
- 食事介助
- 服薬介助
1.失禁でシーツが汚染する
夜間定時のパッド交換の時間。
「汚染なし、ヤッター」安堵して、オムツを閉じる。
朝の起床時、油断してパッドがずれていたことに気付く。
パジャマやラバーシーツが汚染している。
「申し訳ありません、交換します」「どっと疲れる」
2.パジャマから服に着替える
お一人で更衣できる方は、殆どいないので更衣のお手伝いが必要。
お部屋で更衣するのが当たり前だけれど、その余裕はない。
失礼して、排泄後に便座に座った状態で更衣する。
勤め始めたときは、違和感のある光景だったけれど、一人夜勤では考えている余裕はない。
3.洗面や歯磨きなどの整容のお手伝い
洗面台の前で立って整容するのは、みなさん難しい。
洗面台まで案内し、椅子に座っていただく。
口腔ケア用品を手渡し、洗面タオルを手渡す。
洗面台の前で整容するのは当たり前だけれど、時間がない時は食卓に座って整容していただく。少し後ろめたい気持ち・・
でも、「いいか」今は電車の中で化粧する時代だから・・
4.食事介助
食事介助は、利用者さんが一口食べたら、自分も一口食べる。
そのペースが無理のない食事介助のペース。
しかし、介護職は早食いが多い。
自分が食べ終わっているとき、利用者さんはまだ半分も食べていない。
5.服薬介助
介護職で、あってはならないのが服薬ミス。
名前を確かめ、日付を確認する。
同じ目線の高さで薬を手渡し、飲み込みを確認する。
何百回、何千回やっただろう。
食後の掃き掃除をしていると、白い玉(薬)を見つける。
「あ~ぁ、見なかったことにしたい」
報告書を書いて提出する。帰宅時間がまた遅くなった。
一人夜勤の実態
施設の夜勤は、その施設の形態や事業所の方針で、内容が異なります。
しかし、実情として多いのは次のようなことでしょう。
- 新人も夜勤をこなす
- 夜勤に仮眠室はない
- 拘束時間が長い
- 一人夜勤で、転倒がある
新人も夜勤をこなす
人材不足で、新人もすぐに夜勤を務めることになる。
おむつ交換もままならない状態でも、夜勤に入る。
「何かあったら隣のユニットの人に応援に来てもらってね」
「何かあったら・・」って、どんなことを指すかもわからない新人さん。
励ましや応援があると、何とかこなすことができる。
「辞めたい!」を連発していた新人さん、半年を過ぎると「辞めたい!」と言わなくなった。
夜勤に仮眠室はない
休憩時間が3時間あるのに、「1人夜勤なんだから寝るなんてありえない」と先輩に言われる。
休憩なのに、ソファーに横になることもできないのか?
「グループホーム」「小規模多機能型居宅介護」の仮眠室があるのは2割~3割らしい。
仮眠室などあるわけもない。
職員同士で話をしていたら「言ってもいいのかなぁ・・先輩寝ててコールに気付かなかったよ」と教えてくれる職員がいる。
次の夜勤から、堂々とソファーに横になり休んでいる。
拘束時間が長い
介護施設の夜勤は「2交替」と「3交替」がある。
「グループホーム」「小規模多機能型居宅介護」はすべて2交替夜勤で、16時間以上の長時間勤務はグループホーム70.0%小規模多機能型居宅介護62.5%らしい。
グループホームは、1ユニットで9名の利用者さんが生活している。
一晩、9名の利用者さんの安全を守れば、夜勤明けと次の日は休みになる。
3交替に憧れるが、夜勤明けの次の日が勤務では、気分転換ができない気がする。
一人夜勤で、転倒がある
夜勤一人で対応できない部分を補うために、「離床センサー」「センサーマット」などをよく使っている。
今ではスタッフのパソコンで、温度調節をしたり睡眠状態を把握までできる世の中なのだ。
それなのに、「離床センサー」をつけていても転倒がある。
2ヶ所同時にセンサーがなっても、対応できる職員は一人なのだ。
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