2019/8/15

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介護士アラカルト

介護の考え方はみんな違って当たり前

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ケアの統一は
その人を見なくなる

介護士たちの『介護についての考えかた』は、みな違うものです。その違う考えをまとめるのが『ケアの統一』です。しかし、ケアの統一を決めたとき、介護士たちは『利用者さんを見なくなる』そんなことがおき始めます。

今回は、グループホームに入居して10年が経過した90歳代の女性についてのおはなしです。

「ケアの統一」が検討されるとき

「ケアの統一」が検討されるのは、状況に変化があったときです。新しい変化に対応がまちまちになると、利用者さんだけではなく介護士たちにも混乱を招きます。

食事に集中できない

彼女はとても他人のことが気になる方です。「あの人の口にご飯粒がついてるよ」「この人がおかずこぼしたよ」と職員に教えてくれます。職員としてはとても助かるのですが、周囲を見てばかりで自分の食事は一向に進みません。

食べるときは、副食を一品ずつ丁寧に食べます。麺類の時は、麺を1本ずつ食べるといった具合で、ゆっくりと食べるのです。それに加えて周囲が気になるのですから、食べ始めてから1時間かかるのはいつものことです。

『食事に時間がかかること』が職員の間で問題になりました。「自分で食べているのだから、時間は関係ない」という職員がいたり、「仕事が片付かない」「次の行動に移せない」という職員がいて、考え方がみな違うのです。

就寝時の嘔吐をきっかけに、ケアが統一される

そんな時のこと、彼女は就寝してから、少しですが嘔吐したのです。医師からは健康の状態には変化がないということです。食べ物が消化出来ていない状態で就寝したのではないか?ということになり、就寝の時間を遅らせる対応をしてみました。

しかし、皆さんが就寝のために居室に戻ると、いつまでも居残るのがいやなのか、自分で居室に戻ろうと立ち上がります。

彼女は膝関節症があり、両膝が極端に湾曲しています。下肢筋力が低下していて、一人での立位はとても不安定です。自分では「立てる」「歩ける」と思っているので、眠たければ自分で居室に戻ろうとするのです。

就寝介助時間は、職員がバタバタとしていますから、この行動を見逃すと転倒につながってしまいます。就寝時間を遅らせることが出来なかったため、食事の時間を短縮するケアの検討がされました。食事に集中出来るように「1品ずつ提供しよう」ということになったのです。

「ケアの統一」と「利用者の意向」

食事の1品提供はことのほか効果がありました。ご飯に副食を1品ずつ提供すると迷うことがないので、今までの半分ほどの時間で食べ終わることが出来ました。食後から就寝までの時間もたっぷりあるため、その後嘔吐はありません。

利用者の意向があったとき

1品提供が定着したころでした。昼食時のこと、彼女は他の利用者さんの食事を見て「私にはカツないの?」と訴えます。主菜であるカツ(コロッケなのですが)は、次に提供するように控えていました。

『ケアの統一』は1品ずつです。考えた介護士は「今作っているので少しまってくださいね」とその場をしのぎました。この様子を上長は見逃さなかったのです。

利用者の状態を把握する

上長は「なぜコロッケを出さなかったの?」と聞くので、介護士は「1品ずつ提供することになってるからです」と答えます。上長は少し考え込んで、「統一したケアは、その人を見なくなるのだ」と説明していました。

彼女はいつも「あれがない」「これがない」と言うわけではありません。しかし、この時はみんなと同じカツ(コロッケですが)が食べたかったのでしょう。他の人との区別が出来ていたこと、食べたいという意向があったことなど、状況はいつもと違っていたのです。

『ケアの統一』がされていることで、介護士は状況の判断をしなくなっていました。「とにかく、1品ずつ出す決まりだから・・」他のことは考えず、状況も見ていなかったのです。

「誰のためなのか」を考える

実はこの困った介護士は、私のことです。介護の勉強をすると、『ケアの統一は重要である』と学んできたつもりでした。なので、上長が丁寧に説明してくださったときも、すぐに理解できなかったのです。

『ケアの統一』は誰のためかと言えば、もちろん利用者さんのためです。介護士たちの力量を考えながら、『基本となるケアを基盤にすること』が大切なのであって、『決まったケアをする』ためではないのです。

皆さんは理解されているでしょうか?

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