事例を検討 入浴・排泄拒否
認知症ケア専門士という資格をご存知でしょうか?「一般社団法人日本認知症ケア学会」が認定する資格で、確かな知識と経験を実践の場で活かせる、専門性の高い民間資格です。事例検討会に参加したので、その内容をお伝えします。
認知症ケア専門士について
試験内容
受験資格は認知症ケアの実務経験が3年以上あること。一次試験は、4分野に分かれた出題がマークシート方式(五者択一)で200問出題されます。二次試験は事例に対する論述とグループによる面接があります。合格率は50%前後です。
「認知症ケア専門士 公式サイト」から受験の手引き(1000円)を購入し、所属する事業所に必要書類を記入してもらい提出します。標準テキストがありますから、それに添って学習できます。
更新による申請
資格取得後には、セミナーや講習を受講し5年間で30単位を取得する必要があります。その他に学会の参加や論文発表などでも、単位の取得ができます。
各都道府県にある団体
各都道府県に「〇〇県認知症ケア専門士会」がありますから、そちらに問い合わせをして入会すると、セミナーや講演会のお知らせが届きます。入会金などは各都道府県によって違いますので、ご確認ください。
事例検討会に参加してみた
事例の概要
入浴・排泄場面で拒否のある80歳代男性の事例です。市役所に勤務し定年を迎える。70歳ころより物忘れがはじまり、徐々に不眠や物忘れの頻度が高くなる。79歳の時グループホームへ入居。風呂好きだったが入浴の拒否や排泄時にも拒否がある。
事例内容には、更に細部のアセスメントも記載されていましたが、ここでは割愛させていただきます。
参加者は多職種
この会のおもしろいところは、多職種であることです。施設の管理者だったり、看護師・ケアマネ・理学療法士や私のような介護士もいます。職場だけでは接することのできない、多職種の方々の考え方を聞く良い機会となります。
ここでのお題は、「清潔」と「本人の意思」のどちらを優先するか?というものです。
嫌がる方に「清潔」を優先すれば、2人介助ぐらいで無理やり介助することになります。「本人の意思」を尊重するなら、それはネグレクト(介護放棄)になるのではないかという意見もでます。
大切なこと
「なぜ」を考える
私の上長はこういった介護の拒否がある場合、その原因の「なぜ」を考えるようにと話します。
なぜ・・「羞恥心があるから」「スタッフとの人間関係に問題があるから」「その行為を望んでいない状況だから」と頭の中であれこれとイメージします。
認知症があると自分の思いをうまく伝えられないことが多いので、基本情報や日ごろの様子を観察して探っていくことになります。
その方のことを知る
「清潔」も「本人の意思」もそれぞれ大切です。このディスカッションでは、結論は出しません。参加した方々の意見を吸い上げているようでした。職種の違いで、ご家族の意向を考える方もいれば、薬の内容に注目する方もいました。
この事例は、介護に携わる方なら一度は直面するであろう内容です。
大切なのはその方の「なぜ」を考えて、「どう感じているのか」を観察することではないかなぁと思った事例検討会でした。