介護の仕事をはじめようと初任者研修を受けた後、「訪問介護にしようかな」と迷うとき、自分はそもそも「訪問介護に向いているのか」と思うことはありませんか。訪問介護でスタートを考えている方に、訪問介護に向いている人の特徴や訪問介護のメリット・デメリットを紹介します。
訪問介護に向いている人ってどんな人?
訪問介護に向いている人は、一言で言うと他人に依存しない人です。
自分で考えず他人を頼る人には向いていません。
はじめは先輩ヘルパーが同行して仕事の内容を教えられますが、一人で訪問するようになると自分で判断することの連続です。
厳しいように思うかもしれませんが、この繰り返しが後々介護職を続けるための自信に繋がっていきます。
具体的に訪問介護に向いている人の特徴は
- 一人で仕事をしたい人
- 移動が苦にならない人
- 時間を守れる人
- 責任感のある人
- 話を聞ける人
- 笑顔になれる人
- 断れる人
- 同じケアが出来る人
1.一人で仕事をしたい人
仕事関係の横繋がりが苦手な方に向いています。
訪問介護は、一人で利用者宅を訪問しケアを行います。
仕事の内容は決まっていますが、縛りが少なく自分のやり方を活かすことが出来ます。
2.移動が苦にならない人
訪問介護は殆どの場合、車で利用者宅を訪問します。
自動車免許は必須条件で、車の運転が好きな方や車の運転が苦にならない方が向いています。
3.時間を守れる人
利用者さんは、遅れると「まだ来ない」と待っていることが多く、時間を守れる人が向いています。
訪問介護は、時間を切り売りする仕事です。
決められた時間に訪問して、決められた時間内に仕事を終わらせる必要があります。
4.責任感のある人
与えられた内容の仕事を、やり遂げることが出来る人に向いています。
利用者さんのご自宅に訪問するのは、基本的に一人です。
自分のやり方で自由に行えますが、中途半端な仕事では信用を失います。
任せられた仕事を安全に行い、やり遂げる責任感が必要です。
5.話を聞ける人
おしゃべりが上手な人より、話を聞けるタイプの人が向いています。
話を聞くことで利用者さんは「理解してもらえる」と感じます。
信頼関係ができると利用者さんは、いろんな話をしてくれますから
今の状況が把握でき、プランに繋げることができます。
6.笑顔になれる人
嫌なことがあっても、その時間だけは笑顔になれる人は向いています。
利用者さんは、いろんなタイプの方がいて苛立たせてしまうことがあります。
「怒れる拳笑顔に当たらず」で、笑顔でいるとトラブルを避けることが出来ます。
7.断れる人
利用者さんの心づかい(物品など)があるとき、気持ちよく断れる人が向いています。
物品を受け取ると「いつも頂いてばかり・・お返しは必要?」と考えたり、事業所への報告が必要になるなど面倒なことが増えてしまいます。
次回訪問してお礼を言い忘れると気まずくなりますから、気持ちを傷つけずに断る必要があります。
8.同じケアができる人
「やってあげたい」という気持ちを抑えて、同じケアが出来る人が向いています。
ケアの内容はプランと手順書で決められているので、計画に添って行う必要があります。
必要以上のサービスをすると「特別なヘルパー」になってしまい、ヘルパー間に格差が出てしまいます。
「こうした方がいい」ということは上司に提案し、手順に組み込んでもらう必要があります。
女性が有利
女性は訪問介護を利用する利用者さんに、受け入れやすいため有利です。
施設介護は利用者さんを受け入れる側ですが、訪問介護は利用者さんに受け入れてもらう側の仕事です。
掃除や料理が出来る男性でも、自宅に入る仕事なので女性の方が受け入れられます。
男性なら、訪問介護より施設介護の方が受け入れてもらいやすいといえます。

訪問介護の働き方
訪問介護の働き方には、大きく分けて二通りの方法があります。
正社員と登録者社員です。
正社員は、一般の正社員雇用形態と同じく固定給で安定して収入を受けることが出来ます。
事業所によって資格取得や講習会の出席などもあり、スキルアップも望めます。
しかし、登録社員が訪問できない時間帯の仕事や、身体介護を優先して行うことが多くなります。
登録社員は、自分のライフスタイルに合わせて勤務日数を選んだり、時間帯を指定することが出来ます。
訪問先から次の訪問先までの、空き時間に自宅に帰ることが出来るので、家事も両立して行えます。
しかし、時間を制限すると訪問件数が少なくなるため、収入は安定しません。
ヘルパーへ転職するメリットはあるの?
はじめて介護の仕事をする方には、訪問介護からのスタートをおすすめします。
はじめのうちは、一人で対応する難しさや移動の負担を感じるかもしれませんが、介護の仕事で基本的なことを習得できます。
丁寧な対応が出来る
ご自宅に訪問して介護をする訪問介護は、マンツーマンのケアが行われます。
一つ一つの動作の声かけや意思確認を行い、サービスを提供します。
この声かけが習慣となって身につくため、施設に転職した場合も個人に対し丁寧な対応が出来るようになっていきます。
判断力が身につく
訪問介護は常に一人で決断をする連続です。
施設介護は、迷ったときに他のスタッフにすぐに「聞く」ことができますが、訪問介護はそうはいきません。
訪問中は、何事も一人でベストな判断をしなければなりませんが、自分で判断をする習慣が身につきます。
切り替えができる
嫌なことがあっても次の仕事は別の利用者さんです。
場所や人(利用者さん)を変えることで、切り替えがしやすくなります。
次の利用者さんに「ありがとう」という言葉をいただくと、不思議と切り替えができていきます。
訪問介護員は施設介護への転職でデメリットがある

身体介護は修練が必要になる
登録者社員の場合、事業所の受け入れているケア内容によっても違いがありますが、殆どが調理や掃除といった生活支援です。
はじめて介護の仕事をするときに、家事の延長で取り組みやすいというメリットがあります。
しかし、オムツ交換などの身体介護が少なくなるため、訪問介護から施設介護へ転職したときに、手早く行えず苦労します。
施設に転職したとき形態の違いで迷う
訪問介護は、時間内に決められた支援を行えばやり方は自由です。
しかし、施設ではある程度日程が決められていますし、入所している方の人数も多いので業務内容は複雑です。
シフトも早番・日勤・遅番・夜勤と分かれ業務内容も違うので、覚えることが多く慣れないうちは苦労します。
まとめ
具体的に訪問介護に向いている人の特徴は
- 一人で仕事をしたい人
- 移動が苦にならない人
- 時間を守れる人
- 責任感のある人
- 話を聞ける人
- 笑顔になれる人
- 断れる人
- 同じケアが出来る人
訪問介護のメリットは、個別での接遇の基本が身につくことです。
逆に訪問介護から施設介護へ転職するときには、業務形態が複雑で苦労します。
余談ですが、私は子育て中に登録ヘルパーで6年訪問介護を経験しました。
子育てが終わり認知症に興味があって、グループホームに転職しています。
訪問介護では、接遇や介護の基礎知識を学ぶことができ、とても良い経験だと思っています。
責任は重いですが、スタッフ間のしがらみがないため、取り組みやすかったですよ。
訪問介護に向いているか悩んでいるなら、どうぞ始めてみてください。