
介護の資格を勉強した方なら、一度は学習したことがあるバイスティックの7原則。7つを全部覚えるのは大変ですが、介護の実践で行っていることが多いものです。バイスティックの7原則の言葉と内容を実践で結び付けてみましょう。
目次
バイ スティック の 7 原則
バイスティックの7原則
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介護の勉強でバイスティックの原則を覚えたいんだけど、なんかごちゃごちゃになっちゃうのよねぇ・・
難しく考えないで、私たちが行っているケアに置き換えると覚えられると思いますよ!
- バイスティックの原則は、私たち介護者が利用者さんの「何を大切にするか」を考えるとスムーズに理解できます。
- 個別化(個性)
- 受容(ありのまま)
- 自己決定(決定)
- 意図的な感情表現(感情)
- 統制された情緒関与(共感)
- 非審判的態度(考え方)
- 秘密保持(個人情報)
バイスティックの個別化・受容・自己決定
バイスティックの個別化と受容・自己決定の原則は、利用者さんが「それぞれが違っていて、その違いを受け入れる」原則です。
個別化の原則
「利用者さんが持つ様々な個性や事情を大切にする」という原則です。
私たち介護者は、以前の似たような事例を元に介護しがちです。
「Aさんは○○だったから、Bさんも○○だろう」と考えがちですが、AさんとBさんは違う人物です。
似たような状況があったとしても、それぞれが「only one」の存在です。
比較しない、同じ対応だけを考えないことが必要です。
夜に眠れない利用者さんが何人かいるけど、原因や目的はそれぞれ違うものね。対応も変えていかなくっちゃ!
受容の原則
「利用者さんの言動や態度を大切にする」という原則です。
介護者の予定で「○○てもらおう」としたと時に、利用者さんが嫌がったりすることがありますね。
その時の利用者さんの言葉や態度には、なんらかの事情があるものです。
たとえそれが「なんとなく・・」といったものでも、その状況を一旦は受け入れる必要があります。
その状況を無視すると、無理やり介護者の都合に合わせた介護になってしまいます。
受け入れるということは、利用者さんのペースに合わせることや、気持ちを理解しようということですね。
自己決定の原則
「利用者さんが自分で決めることを大切にする」という原則です。
物事を決めるためには、自分にとって良い方向で解決し決める力が必要です。
私たち介護者は、目的をもって援助を行うために「○○しましょう」と誘導的な声かけが多くなります。
自分で決める機会が少くなると、依存的になり生きていく力も弱くなってしまいます。
入浴を嫌がって「風呂には入らない!!」って言ってる利用者さんは、強い自己決定をしてるんだって考えるのね!
バイスティックの感情表現・情緒関与・非審判的態度
バイスティックの意図的な感情表現・統制された情緒関与・ 非審判的態度の原則は、私たち介護者がケアを行うときに注意すべき点に触れています。
意図的な感情表現の原則
「利用者さんの感情を大切にして、率直に表現できるようにする」という原則です。
喜びのような「快」の感情は、他者にも受け入れやすく誰もが表現しやすい感情です。
しかし、怒り・苦しみ・悲しみ・諦め・驚き・恐怖などの「不快」の感情は、他者に嫌悪を抱かせることもあり表現しにくい感情です。
感情を受け入れてもらえる環境で、その感情は表現しやすくなります。
話しやすい雰囲気だと、利用者さんは抑えていた不満を打ち明けてくれることがありますよね。
統制された情緒関与の原則
「利用者さんの訴えや感情を大切にするけれど、介護者は呑み込まれないようにする」という原則です。
情緒関与において共感は欠かせません。
しかし、共感の気持ちに呑み込まれてしまうと、目的を持った介護が難しくなってしまいます。
私たちは、共感を持ちながら目的を持った援助する必要があります。
ご飯が食べたくないって言ってる利用者さんに「そうなんですね」って共感しちゃったけど、何とか栄養を摂れる方法を考えなくっちゃね!
非審判的態度の原則
「利用者さんの考え方を大切にして、行動などを批判しない」という原則です。
私たち介護者は、利用者さんの生活の改善を求めています。
そのため、「○○したい」という考えを否定してしまうことがありますね。
私たちの考え方(価値観)で利用者さんの考え方を否定すると、利用者さんは私たち介護者を受け入れられなくなります。
「違うでしょう」「ダメじゃない」などの言葉は、利用者さんを傷つけてしまいますね。
バイスティックの秘密保持
秘密保持の原則
「利用者さんに関する情報を大切にし漏らさない」という原則です。
「個人情報保護」に関する原則です。
私たち介護者は、利用者さんの知りえた情報を関与しない人に漏らすことを厳しく禁じられています。
秘密保持義務は、「社会福祉士及び介護福祉士法」で罰則も設けられ、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処するとされています。
介護職のマナーみたいなことよね!
バイスティックの7原則 介護福祉士試験に出題された問題
バイスティックの7つの原則を見てきました。
介護福祉士の試験で、どのように出題されているのか過去の問題でおさらいしてみましょう。
Cさん(87歳、女性)は、介護老人保健施設に入所している。
最近、Cさんがレクリエーション活動を休むことが多くなったので、担当のD介護福祉職はCさんに話を聞いた。Cさんは、「参加したい気持ちはあるので、次回は参加します」と言いながらも、浮かない表情をしていた。D介護福祉職は、「自分の気持ちを我慢しなくてもいいですよ」とCさんに言った。
この時のD介護福祉職の言葉かけに該当するバイステック(Biestek,F.)の7原則の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。介護福祉士試験 人間関係とコミュニケーション 第30回の出題より
答えは、意図的な感情表現です。
ポイントは、「D介護福祉職の言葉かけ」で「自分の気持ちを我慢しなくてもいいですよ」と声をかけています。
「利用者さんの感情(浮かない表情)を大切にして、率直に表現できるように(言葉かけ)する」という原則が適切です。
間違いやすいのは、自己決定の原則でしょうか。
Cさんは「参加したい気持ちはあるので、次回は参加します」と自己決定していますが、問題はD介護福祉職の言葉かけに該当するバイステックは何かを質問しています。
まとめ
- バイスティックの原則は、私たち介護者が利用者さんの「何を大切にするか」を考えるとスムーズに理解できます。
- 個別化(個性)
- 受容(ありのまま)
- 自己決定(決定)
- 意図的な感情表現(感情)
- 統制された情緒関与(共感)
- 非審判的態度(考え方)
- 秘密保持(個人情報)
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