足がつると夜眠れなくなりますね。足が痛いと訴えていた高齢者に、芍薬甘草湯が処方されて、こむら返りに実際に効いた実話をご紹介します。足がつるときに一度ためして頂きたい漢方薬です。
【足がつる痛み】に効いた芍薬甘草湯の漢方薬
介護施設に入居中のAさん、女性で80歳の方が芍薬甘草湯を飲み始めて、『足がつる』という訴えがなくなったんです。
ご本人も職員たちも、処方された漢方に効果があるとは思えませんでした。
はじめは「痛み止めが処方されたらよかったのに・・」と皆が考えたほどです。
あぁ・・イタタ・・足がつって、眠れたもんじゃないよ!
湿布を貼っても良くならないわねぇ。今度、処方された漢方薬が効くといいんだけど・・
漢方薬の芍薬甘草湯を飲み始めましたが、数日はさっぱり効果がないようでした。
あの藪医者、さっぱり効かない薬よこして・・年寄りだと思ってバカにしてんだ!まったく!!
痛みのせいなのか、夜間トイレに起きてくるときは、とても苛立っていました。
しかし、変化が現れたのは芍薬甘草湯を飲み始めて10日目頃からです。
夜間帯にぐっすり寝ている時間が増えていました。
Aさん、最近足の痛みはどうですか?
それがねぇ。足がつらなくなってきたんだよ!もう、湿布はいらないからね。
夜間に3回ほどトイレに起きてきていますが、足の痛みがなくなって、苛立つ様子がなくなりました。
あんなに痛がっていた『足のつり』がなくなって、本当によかったです。
突然のこむら返りの対処法
介護施設で夜間帯に「こむら返り」を発見すると、介護士は動揺してしまいます。
とても痛そうなので、大病ではないかと思える時もあるからです。
こんなときには、とりあえず足のつま先を手前にゆっくり引き寄せて、ふくらはぎの筋肉を伸ばしてみます。
とても痛がるので、ふくらはぎをさすりながらつま先を引き寄せます。
突然の痛みの対処法は、この方法が一番効果的です。
強い痛みがなくなったら、ホットパックでふくらはぎを温めて、少し足を上げておきます。
足のつりが治ると、痛みはなくなりますよ。
- 足のつま先を手前にゆっくり引き寄せる
- ふくらはぎをさする
- ホットパックなどでふくらはぎを温める
- 少し足を上げる
足がつる こむら返りの痛みの症状
(画像:シャクヤク)
平安の時代から「ふくらはぎ」のことを「腓(こむら)」といい、こむら返りという症状が記述されています。
ふくらはぎがつって痛むことを「こむら返り」といいますね。
高齢になると症状が出はじめます。
若い方では運動中に「こむら返り」を起こすことがありますが、高齢者の場合は、寝ているときに急に痛み出します。
足の筋肉が突然、けいれんを起こしつぱったまま動かすことができません。
痛みが数分で治まることもありますが、毎日のように繰り返し慢性的になることもあります。
- 高齢になると症状がでやすい
- 高齢者の場合、寝ているときに痛みだす
- 足がけいれんして、つっぱって戻しにくい
- 数分で治まることもあるが、慢性になることもある
- 慢性化すると痛みで夜に眠れなくなる
足がつる その原因と対策法
(画像:甘草)
「 足がつる」という原因は、はっきりと解明はされていないそうです。
高齢者に多い原因と考えられていることには
- ナトリウムやカリウムなどの電解質の不足
- 水分不足
- 足の血流が悪い・体が冷える
- 筋力の低下
- 末梢神経の障害 など
高齢者は体に疲労物質を溜めやすい
高齢者は代謝が悪く、体に乳酸などの疲労物質を溜めやすくなります。
疲労物質は、末梢神経の興奮を抑えにくくしてしまい、けいれんを起こしてしまうようです。
Aさんに日常的に気をつけてもらったこと
夏場に多いと言われる「こむら返り」ですが、Aさんの場合は冬場でした。
介護施設では、室温を保つために各居室にもエアコンが設置されています。
Aさんはとても寒がりで、ご自分で設定温度を28度にしてしまいます。
こむら返りの症状がではじめたころ、皮膚のかゆみも訴えていました。
室温を下げることや綿の肌着をもう1枚着ること、夜に目が覚めたら水分を摂ることを声かけしました。
日中の体操には、ふくらはぎを動かす運動も加えました。
- 室温を下げて乾燥を防ぐ
- 水分量を増やす
- 肌着を重ねて体を温める
- ふくらはぎの体操をする
慢性化した『こむら返り』には変化がない
初期の段階で、これらの対応をするべきだったと反省していますが、慢性化した『こむら返り』には、劇的な変化はありませんでした。
『こむら返り』には、糖尿病や腎不全、甲状腺機能低下症、神経疾患などの病気が隠れていることもあるので、「一度検査をしましょう」ということになりました。
検査の結果、神経疾患が見つかりましたが、医師からは手術をすすめられることがなく、漢方薬が処方されたのです。
それが、芍薬甘草湯です。
こんなに効果があると思わなかったので、ご本人も驚いているぐらいです。
芍薬甘草湯という漢方薬
芍薬甘草湯は2種類(芍薬、甘草)の生薬で作られています。
芍薬
芍薬はボタン科のシャクヤクの根の部分です。
鎮痙、鎮痛、血流改善の作用があるとされています。
甘草
マメ科の多年草で長い根茎の部分です。
急な痛みを和らげる作用があります。
根には、砂糖の150~200倍ほどの甘味があります。
芍薬と甘草という生薬の相互作用で、筋肉の過剰な収縮で起こる『足のつり』を改善します。
注意事項
『足のこむら返り』に効果のある芍薬甘草湯なので、症状のある方には是非おすすめしたいのですが、禁忌があります。
- アルドステロン症の方
- ミオパチーのある方
- 低カリウム血症の方
これらの方には症状の悪化があるため、投与しないこととなっています。
また、1日1回量を就寝前に投与するか、頓服用として最小限にすべきとの注意書きもあります。
芍薬甘草湯を使ってみたいと思う方は、一度医師に相談してからにしましょう。
まとめ
足のつり、こむら返りの症状は
- 高齢になると症状がでやすい
- 高齢者の場合、寝ているときに痛みだす
- 足がけいれんして、つっぱって戻しにくい
- 数分で治まることもあるが、慢性になることもある
- 慢性化すると痛みで夜に眠れなくなる
突然の痛みの対処法
- 足のつま先を手前にゆっくり引き寄せる
- ふくらはぎをさする
- ホットパックなどでふくらはぎを温める
- 少し足を上げる
足のつり、こむら返りの原因
- ナトリウムやカリウムなどの電解質の不足
- 水分不足
- 足の血流が悪い・体が冷える
- 筋力の低下
- 末梢神経の障害 など
日常的な対策
- 室温を下げて乾燥を防ぐ
- 水分量を増やす
- 肌着を重ねて体を温める
- ふくらはぎの体操をする
高齢者の方で、足がつっぱるような『こむら返り』があるときの参考にしてください。
とても芍薬甘草湯が、『こむら返り』に効果があったのでご紹介しました。
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